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ホンダのハイブリッド「e:HEV」はトヨタや日産とどう違う? 国産メーカーのHVの長所と短所とは

くるまのニュース / 2021年11月30日 11時10分

現在ホンダは、「e:HEV」と呼ばれるハイブリッドシステムを2020年から展開していますが、それまでの「i-MMD」と何か違いはあるのでしょうか。ほかの国産メーカーのハイブリッドとの違いも検証してみました。

■「e:HEV」ってなんて読む? どんなシステム?

 1997年にトヨタが世界初の量産ハイブリッド車として「プリウス」を世に送り出してから四半世紀が経過し、いまではどの自動車メーカーもハイブリッドシステムを搭載したモデルを販売しています。

 そんななか、ホンダは現在「e:HEV」というハイブリッドシステムを搭載したモデルをラインナップしていますが、この「e:HEV」というのはどんなものなのでしょうか。

 ホンダのハイブリッドシステムは、近年では「SPORT HYBRID i-MMD(以下、i-MMD)」という名称で採用されていました。

 しかし、「i-MMD」のネーミングが難解で認知が進まなかったことや、電動の部分をより強調するために「e:」を用い、さらにハイブリッド車(Hybrid Electric Vehicle)を表す「HEV」組み合わせた、「e:HEV(イー・エイチ・イー・ブイ)」というのがネーミングの由来です。

「フィット」や「ヴェゼル」、「ステップワゴン」、「アコード」、「インサイト」、「CR-V」、「オデッセイ」といったモデルに搭載され、2022年には「シビック」にも採用されることになっています。

「e:HEV」は、駆動用と発電用という2種類のモーターを合体させ搭載、高効率なガソリンエンジンと組み合わせることで、走行状況によって自動で駆動力を振り分けるハイブリッドシステムです。

 市街地などでは駆動用モーターをメインに使用し「EVモード」での走行。駆動用モーターは駆動軸と直結しており、減速時にはエネルギー回生もおこないます。

 一方で加速が必要な場面ではガソリンエンジンも稼働。このエンジンと直結されているのが発電用モーターで、エンジンの出力を利用して発電。走行用モーターに電力を供給するだけでなく、バッテリーへの充電もします。

 また高速道路などの高速クルージングやバッテリーの充電状況によっては、ガソリンエンジンのみで走行するモードもあります。

 つまり、限りなくEVに近いけれど、発電量が足りなかったりさらにパワーが必要なシチュエーションではエンジンがバックアップするのが特徴です。

■トヨタの「THS-II」や日産の「e-POWER」の特徴とは

 ハイブリッドを世に広めたトヨタの「THS-II」や、「e-POWER」搭載車の販売が好調な日産の仕組みとは何が違うのでしょうか。

 現在、ハイブリッドシステムにはいくつかの種類あり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

 日産の「e-POWER」は、「シリーズ方式」と呼ばれるハイブリッドシステムを採用しています。これはエンジンで発電した電力を駆動用バッテリーに供給し、その電力でモーターを駆動させて走らせるシステムです。

日産の「e-POWER」を初めて搭載した2代目「ノート」日産の「e-POWER」を初めて搭載した2代目「ノート」

 走行はモーターの出力に依存し、加速感や乗ったフィーリングはピュアEV(100%EV)に近いといえます。

 エンジンは発電用に割り切っているため常に最適な回転数で効率よく発電。速度や走行環境でも燃費に影響することはあまりないのが特徴です。

 次に小型車や軽自動車に多く採用されているのが「パラレル方式」で、別名「マイルドハイブリッド」と呼ばれるシステムです。

 これはエンジンによる駆動が主体ですが、停止状態からの発進(ゼロ発進)や加速時など大きな出力が必要な場合にモーターが駆動力をアシストするというもの。

 構造がシンプルで部品点数も少なく軽量に作れるため、価格も抑えやすいというメリットがあります。

 ただ、搭載されるモーターやバッテリーが小さい(軽量)ので、EVモードでの走行があまりできないのがデメリットといわれています。

 そしてホンダの「e:HEV」やトヨタの「THS-II」が採用しているのが「スプリット方式」と呼ばれるハイブリッドシステム。

「シリーズ・パラレル方式」とも呼ばれており、シリーズ方式とパラレル方式の両方の長所を組み合わせたようなシステムになっています。

 搭載されるバッテリーもモーターの出力も大きいのが特徴で、トヨタの「THS-II」は遊星歯車(複数の歯車を組み合わせたもの)を使用することで、エンジン出力とモーターの動力を状況に応じてもっとも効率のいい動作割合で駆動させることを可能にしています。

 シリーズ方式とパラレル方式の良いところを組み合わせシリーズ・パラレル方式は高燃費と走行性能を両立させやすいのですが、その分構造が複雑で重量も増加しやすいのがデメリット。しかし技術的な問題もクリアしつつあり、今後のハイブリッドの本流であることは間違いありません。

 現在はモーターの性能が向上し、ほとんどの走行をEVモードで賄えるようになってきたため、高出力なエンジンより出力は低めでも熱効率に優れるアトキンソンサイクルエンジンの搭載がメインになってきています。

 ちなみにトヨタの「THS-II」にも発電用と駆動・エネルギー回生用の2モーターが搭載されており、ある意味では「e:HEV」とは似たような構造ですが、最適な動作割合など、メーカー独自のセッティングの違いで差を付けています。

 もうひとつのハイブリッドシステムとして、「PHV/PHEV(プラグインハイブリッド)」というものもあり、より大容量の駆動用バッテリーを搭載し、外部から電力を供給するプラグを内蔵しています。

 ガソリンで発電するだけでなく外部からバッテリーに直接充電可能にすることで、燃料消費量を減らす(=より燃費が稼げる)ことが可能です。

※ ※ ※

 このようにさまざまなハイブリッドシステムが存在していますが、どれが良い悪いということではなく、最終的な目標は「いかに少ない燃料で燃費を稼ぎ、優れた環境性能を引き出せるか」ということにあるでしょう。

 欧州や中国などではEVのシェアが高まりつつありますが、EV用の充電スタンドの数や充電時間の長さといった課題があり、将来的に日本でどこまでEVが普及するのかは未知数です。

 EVの選択肢も増えていますが、日本ではしばらくハイブリッド車が主役級の活躍をすることになるのではないでしょうか。

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