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ホンダ「フィット」はなぜ苦戦? 身内に強敵!? 小型車人気でもライバル勢に勝てない理由とは

くるまのニュース / 2021年12月6日 9時10分

主力コンパクトカーの新型モデル投入が相次ぎ、販売も好調です。また、軽自動車も人気を博しており、小型車のニーズが高まっているなか、ホンダ「フィット」の販売が順調とはいえません。なぜフィットは苦戦するのでしょうか。

■コンパクトカーや軽自動車が好調

 クルマには複数のカテゴリーがありますが、売れ行きを見ると、小型/普通車では5ナンバーサイズのコンパクトカーが好調です。国内で新車として売られる小型/普通車の約40%を占めています。

 もともと日本は道路と駐車場が狭いので、小さなクルマが使いやすいです。そのためにコンパクトカーの販売も好調ですが、最近はさらに販売比率が増えました。

 このようにコンパクトカーの人気が高まり、最近はフルモデルチェンジや新型車の投入も活発です。

 トヨタ「ヤリス」とホンダ「フィット」は2020年2月、スズキ「ソリオ」は同年11月、日産「ノート」は同年12月、トヨタ「アクア」は2021年7月、日産「ノート オーラ」は同年8月という具合に、コンパクトカーの新型車が相次いで登場しています。

 そして各車種ともに売れ行きは堅調です。

 2021年1月から10月の1か月平均登録台数は、ヤリスが約8660台(SUVの「ヤリスクロス」とスポーツモデルの「GRヤリス」を除く)、ノートは約7240台(「オーラ」を含む)、フィットは約4820台でした。アクアは現行型の発売後となる2021年8月から10月の1か月平均が9400台に達しています。

 なかでもノートとアクアは、ガソリンエンジンを用意しないハイブリッド専用車です。価格帯も高く、ノートと上級のオーラでは売れ筋が220万から270万円に達していますが、高価格車のみの設定ながら売れ行きは堅調に推移しています。

 またアクアは前述の通り発売後の1か月平均登録台数は9000台を超えています。

 同じプラットフォームを使うトヨタ「ヤリスハイブリッド」に比べると、アクアは後席の居住性、内装の質、乗り心地、静粛性などが上まわります。

 価格(消費是込み)は、ヤリスハイブリッドが199万8000円から252万2000円、アクアが198万円から259万円8000とほとんど変わらず、ヤリスハイブリッドよりも強い魅力を備えることでアクアは売れ行きを伸ばしました。

 そうなるとヤリスのユーザーがアクアに奪われます。直近となる2021年10月のヤリスの登録台数は4980台(ヤリスクロスとGRヤリスを除く)なので、前年10月の1万190台に比べると半数以下です。発売から時間が経過して目新しさが薄れ、アクアも割安な価格で投入された結果、ヤリスは以前に比べて勢いが弱まりました。

 しかしそのヤリスよりも売れていないコンパクトカーがフィットです。前述の通り2021年1月から10月におけるフィットの1か月平均登録台数は約4820台なので、ヤリスの約8660台(SUVのヤリスクロスとスポーツモデルのGRヤリスを除く)、ノートの約7240台に比べて圧倒的に少ないです。

 先代フィットの売れ行きは、2019年の1か月平均が約6200台でした。2019年はコロナ禍前なので差し引いて考える必要はありますが、それにしても先代型のモデル末期が約6200台、2020年に刷新された現行型が約4820台というのは、不満の伴う販売実績でしょう。

■フィット不調の原因は一体なに?

 ホンダの販売店は、フィットの売れ行きと顧客の反応について次のようにいいます。

「先代フィットがフルモデルチェンジの直前まで堅調に売れたので、新型は伸び悩んでいる面があります。

 また2021年にコンパクトSUVの『ヴェゼル』が発売され、従来型のフィットから乗り替えたお客さまもおられます。今はSUVの注目度が高いからです。

 そして『N-BOX』の好調な売れ行きもフィットに影響を与えています。N-BOXでは、車内の広さや積載性だけでなく、スライドドアの装着も人気を呼んでいます」

5つのスタイルが設定されるホンダ「フィット」5つのスタイルが設定されるホンダ「フィット」

 N-BOXは2021年1月から10月の1か月平均届け出台数が約1万6000台に達し、フィットも顧客を奪われました。

 そして販売店が指摘するようにスライドドアのニーズも高く、スライドドアを装着するコンパクトカーのトヨタ「ルーミー」は、発売から5年を経過しながら2021年1月から10月の1か月平均登録台数が約1万1300台に達します。

 前述のようにコンパクトカーのヤリスとSUVのヤリスクロスを分割して算出すれば、ルーミーは小型/普通車の最多販売車種になるのです。

 軽自動車でもスライドドアを装着するN-BOX、スズキ「スペーシア」、ダイハツ「タント」、日産「ルークス」は人気が高く、いまでは軽乗用車の半数以上がスライドドアを装着しています。

 先ごろ加わったスズキ「ワゴンRスマイル」の売れ行きも好調です。スズキの販売店では「ワゴンR全体の50%から80%をワゴンRスマイルが占めています」といいます。

 このような事情で、フィットの需要を同じホンダ車でスライドドアを備える軽自動車のN-BOX、あるいはコンパクトカーでスライドドアを装着するルーミーが奪っている面もあるでしょう。

 フィットは全高を1550mm以下に抑えて立体駐車場も使いやすく、燃料タンクを前席の下に搭載して後席と荷室を広く設計した、実用的なモデルで、ガソリンエンジンを搭載した「ホーム」の価格は176万7700円です。

 これは、「N-BOXカスタムL」の176万9900円、「ルーミーG」の174万3500円に価格帯が近く、同じ実用指向の車種同士が競争してフィットが顧客を奪われた面もあります。

 また先に述べた通り、現行フィットが発売された2020年2月から2021年に掛けて、コンパクトカーとコンパクトSUVの新型車が数多く発売され、ヤリスクロスやヴェゼルも新型になっています。

 販売店が指摘した通り、今はSUVの注目度が高いので、ヴェゼルやヤリスクロスもフィットの売れ行きに影響を与えました。

※ ※ ※

 フィットでは、SUV風グレードの「クロスター」を除くとフロントグリルが極端に薄く、顔立ちの好みが分かれることも影響するでしょう。

 水平基調にデザインされたボディの側面も、側方と後方の視界が優れた安全性の高いデザインですが、外観の躍動感や存在感は弱いです。

 内装はインパネの上面を平らに仕上げて前方視界が優れていますが、立体的ではないので上質感の演出は難しいです。2本スポークのステアリングホイールも、ユーザーによっては見慣れない印象となっています。

 これらの造形は安全性や運転のしやすさではメリットがあるのですが、見栄えはいま一歩と受け取られやすいのも事実です。

 このようなさまざまな理由から、フィットは売れ筋カテゴリーのコンパクトカーでありながら、売れ行きが伸び悩んでいます。

 ただしフィットは優れた商品力を備えており、前述の通り視界が優れ、運転しやすいです。全高も立体駐車場を使いやすい高さに抑えながら、後席はミドルサイズセダン並みに広く、荷室の使い勝手とシートアレンジも多彩です。

 現行型では乗り心地も改善され、ハイブリッドの「e:HEV」は加速も滑らかです。価格は割安で、e:HEVは高機能なハイブリッドでありながら、1.3リッターガソリンエンジンとの価格差を売れ筋グレードの場合で約35万円に抑えました。

 デザインの評価と売れ行きはいまひとつですが実用的で買い得なので、コンパクトカーを購入するときはフィットも検討してみると良いでしょう。

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