なぜトヨタ「ランクル」人気続く? 流行りの「SUV」と異なる需要も! 納期4年待ちでも「一人勝ち」する理由
くるまのニュース / 2022年7月3日 9時10分
トヨタ「ランドクルーザー」は70年以上の歴史を誇る本格クロカンで、昨今の環境車シフトにおいては異端児ともいえます。なぜ昨今流行りのクロスオーバーSUVなどではない本格クロカンのランドクルーザーは「一人勝ち」といえる状態が続くのでしょうか。
■累計1000万台が裏付ける、ランクルの信頼性
日本では「納期4年待ち」という異例の長納期が話題となっているトヨタ「ランドクルーザー」。
ランドクルーザーが優れたパフォーマンスを持つモデルであることは疑う余地がありませんが、なぜこれほどまでに「ひとり勝ち」を収めているのでしょうか。
日本を代表するクロスカントリービークル(クロカン)であるランドクルーザーは、2021年に新型へとフルモデルチェンジを果たしました。
14年ぶりにフルモデルチェンジとなったランドクルーザーですが、2022年6月現在、日本国内では4年待ちという異例の長納期となっています。
昨今トレンドとなっているクロスオーバーSUVとは一線を画す、圧倒的な悪路走破性と耐久性を持つランドクルーザーは、日本はもちろん世界中で絶大な人気を誇ります。
とくに中東やオーストラリアでの人気は高く、生産されるランドクルーザーのほとんどがそうした海外の国や地域へと輸出されるため、相対的に日本市場への割り当て台数が少なくなっていることが長納期化の一因となっています。
日本では高級車としての性格も強いランドクルーザーですが、主要な市場である中東やオーストラリアでは、そもそもランドクルーザーでしか走れないような道も多く、趣味のクルマというよりは、生活必需品という位置付けとなっています。
例えば、オーストラリアでは地下1600mにある坑道や、兵庫県よりも広い牧場での移動のために、コスタリカでは標高3500mの急斜面にある畑で人参を収穫するためにランドクルーザーが利用されてきたといいます。
いずれも、クルマがなければ生活が成り立たず、もしクルマが故障してしまえば最悪の場合、死につながることもあるという環境です。
こうした環境では、デザインの好みや快適装備の違いなどはクルマを選ぶ際の基準としては二の次であり、圧倒的な悪路走破性と耐久性を持つこと、つまり、生きて帰ってこられることが優先されます。
実際、現在では170を超える国でランドクルーザーは販売されており、一部の地域では発売から50年以上が経過する40系のランドクルーザーが今でも現役で活躍しているといいます。
もちろん、ランドクルーザーも工業製品である以上、故障や不具合が発生してしまう可能性はゼロではありません。
しかし、1951年の初代発売から70年以上の歴史を持ち、グローバルでの累計販売台数が1000万台を超えるランドクルーザーは、過酷な環境下でも信頼できる数少ないクルマであるといえます。
こうした背景もあり、ランドクルーザーについてトヨタは次のように説明しています。
「世界各地で人の命や暮らしを支える、また、より豊かな人生を支える存在として『どこへでも行き、生きて帰ってこられること』を使命としてきたランドクルーザーは、その本質である『信頼性・耐久性・悪路走破性』を世界中のお客さまの使用実態に基づいて鍛えて進化させてきました。
それぞれの時代で『お客さまをはじめ、このクルマに関わるさまざまな人々に安全と安心をお届けすること』を目指しています」
※ ※ ※
なお、2022年7月1日時点でトヨタはランドクルーザーの公式ページで「ランドクルーザーは、日本のみならず世界各国でも大変ご好評いただいており生産能力を大幅に上回るご注文をいただいているため、現在ご注文を停止させていただいております」とアナウンス。
人気の高まりやコロナ禍によるさまざまな影響で受注停止となっており、今後の動向にも注目されます。
■なぜライバル不在?「ランクルひとり勝ち」の背景とは
一方、ランドクルーザーのライバルといえる存在は決して多くありません。
国産メーカーの大型クロカンというカテゴリーを見ると、かつての「RVブーム」でランドクルーザーと並んで高い人気を誇った日産「サファリ」や三菱「パジェロ」は、サファリが2007年に、パジェロが2019年に国内仕様の販売を終了しています。
サファリは「パトロール」として中東などで現在でも販売が継続されていますが、パジェロは2021年をもって海外仕様の生産も終了しています。
また海外メーカーでは、ランドローバー「ディフェンダー」やメルセデス・ベンツ「Gクラス」もかつては直接的なライバルといえる存在でしたが、それぞれ独自の方向性を打ち出しています。
ランドクルーザーをはじめとするクロカンは、「ラダーフレーム」と呼ばれる強固なフレーム構造を持ち、一般的な乗用車と共有できる部品も少ないことから、専用設計をおこない、開発も専用ラインを必要とすることがほとんどです。
一方で乗用車に採用されるモノコックボディは、ラダーフレームよりも素材が少ないゆえの低コスト化、ボディの共通化、さらにボディ剛性を高めることで走行性能(燃費なども)も高めることが出来ることなどもメリットが挙げられます。
こうした背景もあり、ディフェンダーは2019年のフルモデルチェンジでラダーフレームからモノコックボディに変更。Gクラスは、プレミアム化して富裕層に向けたビジネスを成立させました。
メルセデス・ベンツ「Gクラス」は世界各国で軍用車のベースとして使われる一方で乗用需要では富裕層における一種のステータスとなりつつある
しかし、前述したように、クロカンは新興国などインフラ整備の整っていない国や地域でその真価を発揮するため、そうした国や地域をターゲットにするならば、極端に高価なクルマとすることはできません。
それらを解決するためには、できるだけ多くの台数を販売することでスケールメリットを得る必要がありますが、世界のあらゆる国や地域へと販売網を整備するのは、多くの自動車メーカーにとって簡単なことではありません。
さらに、環境規制が厳格化されている昨今では、燃費性能で不利なクロカンを新規開発することはもちろん、生産を続けること自体が困難というのが、自動車メーカーの本音といえそうです。
※ ※ ※
優れたパフォーマンスとそれに裏打ちされた圧倒的なブランド力を武器に、そうしたニーズを一身に背負っているランドクルーザー。
現在は、ライバル不在の独走体制を築いており、今後もそうした圧倒的な人気は続いていくのでしょう。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
価格も判明「ランクル250」ようやく発売の全貌 最大のライバルは身内のランクル70/300か?
東洋経済オンライン / 2024年4月18日 22時50分
-
“35年ぶり”復活のトヨタ新型「カクカク本格SUV」発表! レトロな「1958」アリ! 1000万円超えモデルも設定の「新ランクル」加に登場
くるまのニュース / 2024年4月10日 18時10分
-
三菱「新型パジェロS」発表! 「えっ…パジェロ復活?」 話題の次期型はどうなる? 期待されるコトとは
くるまのニュース / 2024年3月29日 11時10分
-
トヨタ新型「ランクル“ミニ”」はどんなモデルに!? コンパクト×カクカクの「本格SUV」登場へ! 待望の「新ランクルシリーズ」とは
くるまのニュース / 2024年3月28日 7時10分
-
本当に「パジェロミニ」復活? 軽SUVはイケイケ三菱から発売される? 噂の真相はいかに
くるまのニュース / 2024年3月21日 12時10分
ランキング
-
1東海道新幹線の「個室」が100系以来、四半世紀ぶりに復活! 「どこに設けられる?」JR東海に聞いた
オールアバウト / 2024年4月19日 21時45分
-
2少人数学級・特別支援学級・産育休…少子化でも教員が足りなくなる3つの理由
産経ニュース / 2024年4月19日 19時41分
-
3洗濯機が臭いです。掃除は毎月やらないとだめですか? 【家電のプロが回答】
オールアバウト / 2024年4月19日 20時15分
-
4SNSでも「かわいい」「癒し」と話題に! セリアで急増中の「シマエナガ」グッズ15選【一挙紹介】
オールアバウト / 2024年4月18日 20時45分
-
5744自治体、消滅可能性 4割超、30年間で女性半減
共同通信 / 2024年4月19日 21時35分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください