えっ…! 軽自動車に「軽油」入れちゃった!? つい「うっかり間違い」では済まされない「燃料の油種」とは
くるまのニュース / 2024年5月7日 14時10分
ガソリンスタンドでは通常「レギュラー」と「ハイオク」、そして「軽油」と、3つの種類(油種)が用意されています。もし誤って指定とは異なる油種を入れてしまった場合、どのようにすれば良いのでしょう。万が一の際の対処方法について紹介します。
■ハイオクとレギュラー、2つのガソリンの違いとは
クルマの主な燃料であるガソリンには、レギュラーガソリンとハイオクガソリンの2つがありますが、軽自動車やコンパクトカーなどの一般的なクルマはレギュラーガソリンを使用し、比較的高性能のタイプを中心にハイオクガソリンが指定されています。
このふたつのガソリン、そしてもうひとつある「軽油」をもし間違って給油してしまった場合、一体どうすれば良いのでしょうか。
レギュラーガソリンとハイオクガソリンの違いは、オクタン価と価格にあります。
オクタン価とは、異常燃焼であるノッキング現象の起こりにくさを示す数値です。
純粋なガソリンは自然発火しやすく、車の燃料に使用すると異常燃焼(ノッキング現象)を起こします。
ノッキング現象は「カタカタ」というエンジンの異音や、小刻みな振動を起こし、走行へ悪影響を及ぼします。そのため、オクタン価が高いほどノッキング現象を起こしにくく、性質の良いガソリンといえるでしょう。
国内では日本工業規格(JIS)により、レギュラーのオクタン価は89.0以上、ハイオクのオクタン価は96.0以上と定められています。
また、ハイオクガソリンはレギュラーと比較すると高価です。
資源エネルギー庁の「石油製品価格調査」によれば、2024年4月15日の時点でのレギュラーガソリンの全国平均は1リットルあたり174.9円、ハイオクガソリンは185.7円でした。
調査内容から、10円ほどハイオクガソリンが高くなっていると分かります。高い理由としては、オクタン価を上げるためにより多くの添加物を入れているからです。
ハイオクといえば、輸入車をイメージする方もいるでしょう。特に欧州車にハイオク指定のクルマが多い理由には、オクタン価が関係しています。
欧州ではレギュラーガソリンの基準値をオクタン価95以上に設定しており、日本規格でのハイオク相当にあたります。
ではすべての車にオクタン価が高いハイオクガソリンを使えば性能が良くなるのではないか、と思う人もいるかもしれません。
しかし、それぞれ指定のガソリンを入れる必要があります。
なぜならレギュラーガソリン指定のクルマには、レギュラーガソリンで最適な燃焼を起こすように設計されているためです。
レギュラーガソリンはレギュラー仕様車、ハイオクガソリンはハイオク仕様車にそれぞれ適していると理解しましょう。
■レギュラーとハイオクガソリンを誤給油したらどうなるのか
それでは、レギュラーガソリン仕様車に、より高性能なハイオクガソリンを入れたらどうなるのでしょうか。
基本的に大きな問題はなく、それどころか、ハイオクガソリンに含まれる洗浄剤によって、エンジンがキレイになると説明している石油会社もあります。ただし、出力アップや燃費向上などの目覚ましい効果までは期待できないでしょう。
通常のガソリンスタンドには3つの油種が用意されています[画像はイメージです]
一方、ハイオクガソリン仕様車にレギュラーガソリンを入れた場合、走行はできてもオクタン価の違いにより本来の性能が発揮されない可能性があります。
また一部の「ハイオク専用車」では、エンジンの破損や車両火災を起こすケースもあるため注意が必要です。
最も気をつけないといけないのは、ディーゼルエンジン車に使用する「軽油」や、石油ストーブに使われる「灯油」の誤給油です。
JAF(日本自動車連盟)によると、2022年10月1日から10月31日の1か月間で「燃料の入れ間違い」によるJAFロードサービスの出動は、105件もありました。
そのうち、ガソリン車に軽油を誤給油したケースは全国で57件です。
もしガソリン車に軽油や灯油を誤給油してしまうと、重大な故障を引き起こす恐れがあります。その場合、絶対にエンジンを始動してはいけません。
「軽自動車だから軽油」などと誤った情報を覚えてしまわないよう、十分に注意してください。
■誤給油したときの対処法とは
レギュラー仕様車にハイオクガソリンを誤給油した場合は、通常通り運転して問題ありません。
一方、ハイオク仕様車にレギュラーガソリンを入れた場合は、ノッキング現象が起こりやすくなるため、急加速などの高負荷運転は避けてください。
クルマの油種には「レギュラーガソリン」「ハイオクガソリン」「軽油」があり、給油ノズルなどの色分けによって誤給油を防いでます[画像はイメージです]
そして前述の通り、レギュラーやハイオク仕様のガソリン車に軽油や灯油を誤給油してしまった場合は、絶対にエンジンは始動せず、すぐにガソリンスタンドのスタッフに相談しましょう。
場合によっては、整備工場で燃料の入れ替えや、燃料フィルターの交換が必要です。
同じくディーゼル仕様の車両にレギュラーやハイオクを給油してしまった場合も、エンジンを始動させず、動かせないことをスタッフに相談してください。
では給油時に間違えないためには、どのように油種を見分ければよいのでしょうか。
まずはクルマの指定燃料を確認しましょう。
給油口のフタやキャップに「無鉛プレミアムガソリン」「無鉛ハイオク」「ハイオク」と記載されたラベルがあればハイオクガソリン指定のクルマです。
そして「無鉛ガソリン」「レギュラー」はレギュラーガソリン、「ディーゼル」「軽油」のラベルは軽油が指定の燃料となります。
もし給油口にラベルがなければ、取扱説明書や購入したお店に確認してみてください。
セルフスタンドで給油する場合は、ノズルの色をしっかりと確かめてから給油しましょう。
間違いを防ぐため、法令でノズルの色が決められています。レギュラーガソリンは赤色、ハイオクガソリンは黄色、軽油は緑色となっているので、給油の際にはしっかり確認したうえで、正しい油種を給油するようにしてください。
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