京都・南丹出身の日本画家「大塚春嶺」の回顧展スタート 没後80年を記念、古典文学テーマの作品多数
京都新聞 / 2024年4月8日 7時0分
現在の京都府南丹市園部町出身の日本画家・大塚春嶺(1861~1944年)の没後80年を記念した回顧展が6日、同町の市立文化博物館で始まった。武者絵で知られるが、古典文学を題材に優美な色彩や穏やかな表情が特徴の物語絵も多くそろえた。陳列する約70点の大半は初公開で、画業の幅広さを明らかにしている。
春嶺は大阪を拠点とし、晩年に帰った同町にも作品が残る。歴史画家とされてきたが、物語絵も得意だったと分かりつつあり、初の回顧展を催した。
会場では、源氏物語の多彩な掛け軸が目を引く。「紫氏作源氏之図」では、優しげな目つきの紫式部が深みのある藤色の十二単(ひとえ)をまとう。明石で歓待される光源氏を表現した作品は、本来は屋内とされる舞台をあえて浜辺とした独創的な解釈を採っている。
楠木正成の「桜井の別れ」など厳粛に表現されがちな歴史画も、やや柔らかな表情として独自の作風を示す。同町の生身天満宮が所蔵する屏風(びょうぶ)や杉戸絵も展示している。同館は「地元や研究者の間で再評価につながってほしい」としている。
5月12日まで。月曜(祝日の場合は翌日)休館。午前9時~午後5時。要入館料。
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