「えっ、死んだの?」「いや、生きてるだろ」 意味深なラストが議論を呼んだマンガ3選
マグミクス / 2024年5月7日 18時10分
■作者が語る驚きの事実!
円満なラストから、物議を醸す結末まで、物語の最終話はさまざまです。アクションものなどでは主人公の生死も気になる要素のひとつですが、それをはぐらかし読者の想像に委ねたことで話題となった3タイトルを見ていきましょう。
※以下、各作品の物語の核心に触れる記述があります。
●『あしたのジョー』矢吹丈
主人公の生死が熱く議論された作品でトップクラスに有名なのが、名作ボクシングマンガ『あしたのジョー』です。不良少年だった「ジョー」がボクシングを通して成長する物語は、後世の作品に多大な影響を与えました。
特に世界チャンピオンとの死闘を終えた、最終話ラストのページは有名です。真っ白に燃え尽きたジョーが、コーナーでぐったり頭を垂れるシーンは、今なお語り継がれています。
この魂が抜けてしまったような姿を見て「ジョーは死んだ」と解釈する人が圧倒的多数でした。しかし作画担当のちばてつや先生は、ジョーの死は一切考えておらず、生きているつもりで描いたそうです。
なお、いくつかのメディアミックスでは、原作と違ったエンディングを迎えています。アーケードゲーム『あしたのジョー』ではジョーがヒロインの「白木葉子」と結婚していました。また「PlayStation 2」のゲーム『あしたのジョー まっ白に燃え尽きろ!』では、ジョーのライバルである「力石徹」が復活し、ふたりが出会った少年院の跡地で決着をつける展開が描かれています。
●『カウボーイ・ビバップ』スパイク・スピーゲル
画像は『カウボーイ・ビバップ』1巻 原作:矢立肇、著:南天佑(KADOKAWA)
1998年に放送されたアニメ『カウボーイ・ビバップ』は、太陽系を股にかける賞金稼ぎたちを描いたSFアニメで、スタイリッシュかつハードボイルドな作風が多くのファンから支持されています。
物語の終盤では、主人公の「スパイク」が因縁の相手である「ビシャス」との一騎打ちを繰り広げます。スパイクは満身創痍ながらも辛勝しますが、その場から去ろうとする途中で倒れてしまいました。周囲はビシャスの部下だらけで、絶望的な状況のまま物語は終了します。
直後に流れるエンディングでは、星が光を失い消えてしまうシーンがあり、消えゆく星がスパイクの死を示しているようにも見えます。占い師「ブル」が最終話で発した「命あるものは、すべて自分の星を持っている」というセリフも、「星が消える=命が尽きる」を強調するかのようです。
こうした暗示はあるものの、あくまでもスパイクの死は明言されていないため、生存を願うファンも少なくありません。
●『岳』島崎三歩
画像は『岳』1巻 著:石塚真一(小学館)
『岳』は、過酷な山岳救助の実態をテーマとしたマンガです。救助隊員である「島崎三歩」の目を通して、山で起こるさまざまなドラマが描かれてきました。
物語の終盤で三歩は、世界最高峰のエベレストに挑戦するパーティの救助に向かいますが途中で三歩も遭難します。意識が朦朧としたまま幻覚などの症状に襲われて以降の行方は描かれず、三歩はそのまま物語からフェードアウトしてしまいました。
最終話では、エベレストでの遭難から5年後の日常が描かれますが、三歩はまったく登場しません。三歩の絶望的な状況と、彼の意志を継いだかのような登場人物たちの姿に、読者の多くは死亡説を支持しているようです。
一方で、生存説もあります。遭難時に三歩が持っていたカップの破損が、ラストのページでは修復されていました。ただ北アルプスにいないだけで、何らかの形で三歩は帰ってきたのかもしれません。
(ハララ書房)
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