「助けて」裏口に現れた子猫の兄弟は目が開かず低体温、衰弱していたが奇跡的に回復→猫家族一家まるごと保護
まいどなニュース / 2024年4月18日 14時20分
突然現れた子猫兄弟
シオンちゃん(5歳・メス)は ソルくん、ルナくん、リクくん(3歳・オス)の母猫。2020年8月、奈良県在住の谷さんのお父さんが、台所から外に出る扉を開けると、ソルくんとルナくんが並んで座っていたという。
「2匹とも目ヤニで目が開かない状態で、一目見て衰弱しているのが分かったので、父が緊急で保護しました。保護した日が日曜日でかかりつけ病院が休診だったため、県内の救急病院を探し、急いで連れて行きました」
とりあえず応急処置をしてもらったが、かなり酷い状態だと言われた。その日の夜は、家族で交代で様子を見て、翌日、朝一番にかかりつけ病院に連れて行ったという。
「2匹とも目の状態がかなり悪く、特にルナは、真夏にも関わらず低体温症になっていたので、少し厳しいかもと先生に言われました。低体温から回復させるため、家の中に決まったスペースを早急に作り、ソルとルナを動物用の電気カーペットの上に置いて毛布をかけ、とにかく体温が下がらないように注意しました。3時間おきにシリンジでごはんをあげ、まだ自力でトイレができなかったので排泄をさせ、家族で交代しながら看病して1週間過ごしました。」
1週間経った頃、獣医師に「低体温もなくなり危機は脱した」と言われた。ただ、目が開いても失明の恐れがあると言われたので、手放しで喜べるわけではなかったそうだ。
「先生の処置のおかげもあり、失明することもなく、瞬膜は残りましたが奇跡的に回復しました」
母猫のシオンちゃんともう1匹の兄弟猫のリクくんは、2匹を心配そうに探していた。その姿を見て、「親子兄弟を離れ離れにするのはかわいそうだ」と家族で相談し、ソルとルナを保護した翌日に保護することにした。リクくんは子猫だったので簡単に保護できたが、シオンちゃんは成猫なのでかなり難しかった。
「家族で考えました。大きな箱を用意し、その箱の中にリクを入れ、シオンがリクを心配して箱に入った瞬間に蓋をして捕獲しました」
家族の猫愛が深まった
ソルくんとルナくんは状態が悪く、気をつけなければいけなかったので別のスペースに隔離した。リクくんは子猫だったこともあり特に警戒したり怯えたりすることはなく、母猫のシオンちゃんと一緒にケージの中で過ごしていた。
「シオンは2歳くらいの成猫だったので警戒心がかなり強く、ごはんもなかなか食べてくれませんでした。子猫のリクを守ろうと必死だったのを覚えています。」
シオンちゃんはメスなので、花の名前を付けようということになった。色々な花を調べ、「紫苑(シオン)」という花を見つけ、言葉の響きもきれいだったのでシオンにしたという。兄弟たちは自然に関係する名前を付けようと思い、リクくんは「陸」をカタカナに、ソルくんはスペイン語で「太陽」という意味、ルナはスペイン語で「月」という意味の名前にした。
シオンちゃんは、保護してから1年くらいは警戒心が強く、触ることもできなかった。今は、甘えるようになり、温厚な猫。リクくんは優しく面倒見がいい猫で、皆のお兄さん的な存在だ。ソルくん、ルナくんは臆病で怖がりな甘えん坊。ルナくんは少しヤキモチ焼きでもある。
保護して1年くらい経った頃、少し慣れてくれたと思っていた矢先、シオンちゃんが外に脱走した。
「野良生活も長かったのでもう保護をするのは難しいと思いながらも、数日探しました。でも、ある日、猫ちゃんたちのお部屋を見ると、何事もなかったかのようにちょこんと座って毛繕いをしていたのです。家族みんなで、ビックリしたと同時に笑ってしまいました。どこから入ったのか今でも分かっていません」
お父さんが20年間猫を飼っていたのだが、その猫が亡くなってから動物を飼うことはなかった。その後、14歳のパインちゃんという猫を迎えて以来、家族全員猫派になったという。
「パインちゃんだけの生活が長かったのですが、3年前にシオン親子を保護しました。それ以来、私たち家族の猫愛はより一層深まりました」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)
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