駅前の植え込みで鳴いていたのは「幸運の子猫」 伴侶と娘を失った老犬を勇気づけ、難病を克服し…犬みたいに走り回る
まいどなニュース / 2024年5月8日 14時20分
助けを求めて鳴いていた子猫
空(くう)ちゃん(4歳・オス)は、2020年6月28日の深夜、駅前のロータリーの植え込みの中で助けを求めて鳴いていた。兵庫県在住のKさんは、飲み会の帰りに空くんの声を聞き、探してみたが見つからなかった。
「暗くてよく見えないし、あきらめて帰ろうとするとまた鳴き声が聞こえてきました。小雨も降ってきたので立ち去ることもできず、1時間くらい探しました。やっと見つけても逃げ回るし、私も空もへとへとで。抱き上げても疲れていたのか諦めてほっとしたのか、抵抗しませんでした。」
やっとの思いで捕まえた空ちゃん。ただ、Kさんには悩みがあった。
「捕獲したのは良かったのですが、家には17歳の老犬がいましたし、私は猫を飼ったことがありませんでした。とりあえず今夜はこのまま連れて帰ろうと思いましたが、どうしよう、どうしようと堂々巡りしていました。」
先住犬と仲良しに
一方、空ちゃんは、そんなことは意に介さず、物怖じもしなかった。犬のゲージの中に入れると、お腹が空いていたのかガツガツ食べて、元気に遊んでいた。
その姿を見ながらKさんは、老犬がいるからうちでは飼えない、里親を探さなければ…とか不安に駆られたという。しかし、意外にも老犬ノアくんは子猫に優しく接してくれた。
「うちは、ノアのお嫁さんと娘、3匹を多頭飼いしていました。ノアは2匹が先に亡くなって寂しかったのかもしれません。空がノアのごはんを横取りしようとしても怒りもせず、優しく迎えてくれました。寄り添って寝る姿を見た時、猫は飼ったことがないけれどこれなら飼えそうだと思いました。」
残念ながらノアちゃんは19歳の誕生日にお空へ行ってしまった。
「ノアは、空が来てくれたおかげで元気になり、長生きしてくれたのだと思います。1匹の時よりずっと元気になり、穏やかな最期を迎えることができました。」
平穏な毎日だったが、空ちゃんは1歳の時、FIPを発症し、獣医師からは余命数日と告げられた。KさんはSNSに投稿して、滋賀県で猫の保護活動をしている人から治療法を教えてもらった。当時、その治療法はあまり信じられておらず長期戦にはなったが幸いその治療が奏功して、空ちゃんは寛解。今ではヤンチャっぷりを発揮して、犬のように駆け回っているという。
「空は色々なラッキーが重なって今を過ごせているのだと思います。空が来て色々な繋がりができて良かったです。毎日楽しく、穏やかな日々が幸せです。」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)
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