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【解説】国会議員の海外視察『見えにくい実態』公報を広げて気づいた...衆議院議員は「国会に〇日間登院できませんよ、としか書いていない」事後の報告も義務付けなし

MBSニュース / 2024年5月10日 14時20分

 ゴールデンウイークに海外視察をする国会議員は多く、今年も岸田総理をはじめ閣僚14人や国会議員らが海外渡航をしています。海外視察をめぐっては自民党女性局の研修で行ったフランスのパリで、エッフェル塔の前でポーズを撮った松川るい参院議員などに対して「旅行じゃないか」「まさに観光客」などといった批判も相次ぎました。中身が見えにくい国会議員の海外視察とはどのようなものなのか、MBS大八木友之解説委員に聞きました。

ーー海外視察とはそもそもどういうものでしょうか?
(大八木友之解説委員)「岸田総理が行くのは海外視察とは呼ばない、国を訪問する政府の外交です。ただ、各議員がやっているものは海外視察と呼ばれるもので、議員外交という形でそれぞれの国に行って、そこの議員の方と話をしたり、先端産業の工場や企業家の人たちと面会するなど幅広いです。通常国会の会期中ですので、国会議員の立場で休みを取って、半ば仕事で行くという形です」

参議院は行き先や目的を公開しているが…詳しい中身は不明

ーー参議院から見ていきたいのですが、どの議員がどこに行っているかを公報しているわけですよね?
(大八木解説委員)「公報ってあまり馴染みがないと思うのですが、一般の方はほとんど見たことがないと思うんです。私もこの取材をするにあたって見てみました。参議院の場合は『何の目的』『どこの国へ』『何日間』行くのかという簡単な部分はわかるようにはなっています。でも情報として明らかになっているのはごく一部で、中身まで細かくわからないです」

ーー松川るい参議院議員は去年、エッフェル塔の前で記念撮影をして批判されたということですが、このGWもやはり海外に出かけていましたね?

(大八木解説委員)「オーストラリアと韓国に行っていたということです。外交を非常に熱心にされている議員でもありますので、この機会にトントンと行かれているというところです」

海外視察の報告は義務付けられていない あくまで『個々の議員の活動』

ーーこういう活動をしてきましたという報告はどこかであるのですか?

(大八木解説委員)「これは議員それぞれの活動ですので、この海外視察においては国会での報告は義務付けられていません。事前にも公報という形でしか一般にはわからない。どこの国へ何日間行くのかぐらいしかわからなくて、事後の報告も義務付けられていません。なぜかと言うと国会の本会議や委員会がないときに行っているだけなので、個々の議員の活動ですよと。だから国会で一つ一つ報告してもらう必要はないとされています」

ーー私たちとしては、向こうで何をしていたのかというところですよね?
(REINAさん)「海外視察自体を否定するつもりはないのですが、現地でしか得られない情報もあると思うので。ただ本当にその成果が出ているのか、成果とコストが見合っているのかが客観的に判断できない状況が問題で、民間企業だと一般的に事前申請をして帰国後にしっかり出張報告書や成果報告書を提出して妥当かを判断するなど、民間レベルではそれが当たり前で常識なのに、なぜ政府レベルでできないのかと疑問をもってしまいます」

(大八木解説委員)「委員会で公式に議員団を組んでいく場合、公費、要するに税金があらかじめ投じられていくような視察もあるんです。ただ、それぞれの議員が例えば各国の政府から招待を受けて、フライト代とかは出た形で行っている場合や自費でという形。自費ですが渡航費が詳細に報告されていないので、どういう形で捻出されてるのかは不明なんですよね」

豊田真由子さん「どこで誰と何をしているかの公開が大事」

ーー豊田真由子さんは元国会議員で海外視察も行かれたことがありますがどう思いますか?
(豊田真由子さん)「これ分けた方がいいのが、意味のある視察とほとんど意味のない視察が正直あると思います。専門的な活動をしていて、その見識とか経験を生かして、わざわざ現地に行く意味があるかどうか、必要性が大事で、普通の情報はネットや本でも、議員が役所に聞けばいくらでも最新の詳細な情報をもらえるわけですよ。それでは足りないのが何かと言ったら、『議員外交』で海外の国会議員と会ったり、いろんな専門家、日本から支援をしている相手先のところに行って確認するとか、日本の国益にどうやって役立てられるかとか、例えば私は日韓関係が停滞していたときに韓国に議員団で行って、冷え込んだ関係をちょっと元に戻そうとか。何を目的に具体的に誰が何をやってどういう成果が出たのかが大事です」

「私はアメリカに行った時に報告書を作成しています。これは日米議員交流プログラムといって80年ぐらいずっとやられているもので、日米間の議員が与野党ともに行ったんですね。上院・下院の議員と話をしたり、本当にずっと分刻みのスケジュールでした。HPでも公開されています。本当に観光なんて1分間もしてない感じです。どこで誰と何をしているかが一番大事じゃないですか」

ーー山谷さんは旧ツイッター「X」で、アメリカのどこで誰と会いましたという写真を毎日1枚ずつ掲載していました。でもそれは最低限だと思うんですよね。内容まではわからないですが、どこで誰と会ったのかということは公表されていました。

(豊田さん)「ただやっぱり国会議員が行くことで大きく貢献することもいっぱいあるので、全否定は良くないと思っています」

衆議院の公報には行き先すら書いていない「知る由がないことが問題」

――続いて、衆議院ではどのようになっているのでしょうか?
(大八木解説委員)「参議院よりもずっとわかりにくい形の公報になっています。議員請暇と言って、国会にこの期間は登院できませんよということなのですが、『議員の名前』、『何日間登院できない』と、延べ34人いるのですが、ほとんどがゴールデンウイーク期間中には海外に行っていると。議員に相当興味ある人はSNSまでたどり着いてこの人たちが何をしたのかはわかるのですが、この状態だけで公になっても全くわからないところに問題があるなと思っています」

――衆議院では名前と期間しか書いていないのですか?
(大八木解説委員)「書いていないですね。国会議員の中で話し合う議会運営委員会というのがあり、そこには渡航の計画書が出されているのですが、一般には非公開なので知る由がないんです。そこが問題だなと思っています」

「なんちゃってをなくす意味でも詳らかな公開を」

ーーお金の部分なのですが、渡航費はどうなっているのでしょうか?
(大八木解説委員)「委員会の公式な例えば派遣団と違って予算がついているようなものではないです。公費を使っていないのが一つの理屈なのですが、そこはどう感じるかですが、議員報酬は元手の原資がそもそも税金なので、自腹をきっていると言われてそうですかとなるかというところはあって、そこの解釈の取り方はいろいろあります」

(豊田さん)「全ての公務員の方もお給料は税金と言われればそうなのですが、それが何か悪いことのように言われるのは全ての公務員の方に対してかわいそうだと思います」

(大八木解説委員)「国会議員は特別職ですし、学校の先生や警察官などの公務員とは少し扱いが違うので、一定程度の透明性は必要なのかなと思います」

(豊田さん)「報告が全てだと思いますけど、給与は税金じゃんと何か悪いことのように言われるのは少し違うかなと」

――悪いことじゃないからこそ明らかにしたらいいかと思うのですが、なぜ情報を公開しないんでしょうね?
(豊田さん)「たぶん、『なんちゃって』が多いからじゃないからですか?」

(大八木解説委員)「『なんちゃって』をなくす意味でも情報をきちんと公開して、こうやって行っていますと詳らかにして、おかしいのはおかしいと指摘できるようになるべきじゃないかなと思います」

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