理科大、米ぬか由来のナノ粒子が優れた抗がん活性を有することを確認
マイナビニュース / 2024年4月23日 17時50分
東京理科大学(理科大)は4月22日、細胞や臓器間のコミュニケーション、ほかの生物との相互作用などにおいて重要な役割を果たす天然のナノ粒子(NPs)である細胞外小胞「エクソソーム」様の米ぬか由来ナノ粒子(rbNPs)が優れた抗がん活性を有することを解明したと発表した。
同成果は、理科大 薬学部 薬学科の西川元也教授、同・鈴木日向子氏(研究当時)、同・板倉祥子助教、理科大 薬学研究科 薬科学専攻の佐々木大輔氏(研究当時)、理科大 薬学部 生命創薬科学科の草森浩輔准教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、ナノスケール科学との接点に重点を置いた生物学に関する学術誌「Journal of Nanobiotechnology」に掲載された。
その大半が廃棄されている“未利用バイオマス”の米ぬかには、フェルラ酸、γ-オリザノール、α-トコフェロール、γ-トコフェロール、γ-トコトリエノールなど、さまざまな抗がん作用を示す物質が含まれている。そこで研究チームは今回、米ぬかから品質が安定したナノ粒子の製造方法を確立できれば、新たな抗がん剤の原料となる可能性があるとして、研究に取り組んだという。
コシヒカリの米ぬかをリン酸緩衝生理食塩水に懸濁(けんだく)し、その懸濁液を撹拌して遠心分離した後、上清を孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過して粗い残渣(ざんさ)を取り除き、ろ液が回収された。そして、超遠心分離した沈殿を懸濁し、孔径0.22μmのシリンジフィルターでろ過することでrbNPsを獲得。その平均粒子径は約130nmで、負に帯電しており、エクソソーム様の中空膜構造を有していたとする。
なお、rbNPsは米ぬかから効率良く調製することが可能であり、平均収量は米ぬか100gあたり約4×1013(40兆)個だったとのこと。そして、上述の米ぬかに含まれる主要な抗がん作用を持つ化合物群が、rbNPsには高濃度に含まれることも確認された。
その効果を調べるため研究チームは、rbNPs、または比較対象であり粒子径と電荷がrbNPsに近いコントロールナノ粒子を、がん細胞株と非がん細胞株に対して添加し、細胞増殖抑制作用を比較。その結果、rbNPsでは非がん細胞株に対して有意な細胞傷害性は示されなかったが、がん細胞株に対しては粒子濃度依存的な細胞増殖抑制作用が示されたとした。一方でコントロールナノ粒子では、いずれの細胞株に対しても有意な細胞数の変化は無かったといい、この結果は、rbNPsががん細胞に対して選択的な細胞増殖抑制作用を持つことを示唆しているとする。
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