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名言ななめ斬り! 第75回 漫画家・槇村さとるの名言「変わんないよ、人間簡単には」-悪循環を断ち切るのは簡単ではないけれど

マイナビニュース / 2024年5月1日 11時5分

画像提供:マイナビニュース

小学校5年生のときに国語の教科書に載っていた物語は何? と聞かれても答えられない人も多いことでしょうが(私は答えられません)、それでは小学校5年生の時に読んでいた少女漫画は何? と聞かれたら、スラスラ答えられる人が多いのではないでしょうか。少女漫画というのは、それほど子どもの心に大きな影響力があるものだと思います。

ただし、だからこそ罪深い面もあり、たとえば大人になって立派なキャリアウーマンとなっても、白馬の王子様を待ち続けたり、少女漫画にいるような完璧なプロフィールの男性を求めてしまうのは少女漫画の影響がないとは言い切れないと思うこともあり、ときどき微妙な気分になります。

○槇村さとる作品には、少女漫画にありがちな“恋愛感”が希薄だった

それはさておき、甘美で時に罪深い少女漫画界を長年牽引してきたのが、槇村さとるセンセイ。初期の代表作としては「愛のアランフェス」「白のファルーカ」、ドラマ化されたのでご存じの方も多いと思いますが「おいしい関係」「Real Clothes」「イマジン」があります(すべて集英社)。もちろん私も読者の一人でしたが、ちょっとした違和感があったのです。この時代の少女漫画と言えば、素敵な男性に愛され、両想いになるというのがひとつのゴールとされていたのに、槇村作品はそういう感じではない。恋愛や結婚ではなく、自分はどう生きたいのかを問うてくる感じがありました。

私にとっての謎は、槇村センセイのエッセイ「イマジンノート」(集英社)によって明らかにされるのでした。槇村センセイのお父さんは暴力をふるう人で、耐えかねたお母さんは小学生の槇村センセイと病気の弟さんを置いて、家出をしてしまいます。残された槇村センセイは女の子であるという理由で家事を担当し、弟さんの面倒を見るなど、今で言うヤングケアラーだったのです。これだけでも十分問題ですが(今なら警察案件です)、センセイのお父さんは子どもたちにも暴力をふるい、あろうことか、センセイに性加害をしていたのです。
○父の虐待、家を出た母、ヤングケアラーだった槇村センセイ

シングルマザーが再婚をし、新しく父親となったオトコと母親が子どもを殺してしまう。こんな事件が起きるたびに、どうして子どもは虐待を周囲の大人に訴えないのかと思う人もいるでしょう。実際に担任の先生に訴えたのに無視されたというケースもありますが、なぜ子どもが黙っているかというと、子どもにもプライドがあるからと言われています。自分に悪いところがあったから殴られるのだというふうに理由をつけることで、自分を納得させる。なので、虐待されている人ほど周りにその話をせず、自分自身が忘れていて、別件でカウンセリングを受けている最中に突然記憶がよみがえってくるとういこともめずらしくないそうなのです。

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