北大、鉄を微量に含んだ二次元層状物質における超伝導磁束の液晶状態を観測
マイナビニュース / 2024年5月9日 16時59分
次に、磁束格子(固体)状態から磁束液体状態への融解の過程が詳細に調べられた。その結果、磁束が1次元の周期性を持った棒状の液晶のようになる「スメクチック磁束液晶」の固体-液体転移の臨界指数が1.4であることが発見された。通常の超伝導体中の磁束は直線的に整列した方がエネルギー的に得だが、今回の試料内にはランダムなFeスピンが配置されているために磁束が柔らかく、ぐにゃぐにゃの液晶状態になっていることが考えられるとしている。
さらに、二次元伝導面内に磁場を回転させると磁束液晶状態による2回対称性が観測されたとした。それに加え、磁場を強くしていくと、超伝導から常伝導に転移する過程でキンク構造も観測されたという。これについて研究チームは、磁束液晶状態における渦対のスライディング(二次元融解)、および渦輪の整列による三次元渦の形成(再結晶化)を提案しているとした。
超伝導体中の量子化された磁束を動作原理とする高感度な磁気センサは、すでに医療機器や磁気特性測定装置に組み込まれている。MX2は高結晶性かつへき開性が良いため、デバイス設計、応用研究への展開が期待されるという。今後、世界的に開発競争の起きている量子制御・計測がMX2超伝導体を用いた磁束液晶の量子もつれ状態により実現する可能性があるとしている。
(波留久泉)
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