やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに届く武器リスト
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月24日 15時10分
ブレンダン・コール
<昨年末から遅れに遅れたアメリカの追加支援がようやく議会で可決された。ウクライナの挽回は間に合うのか>
ウクライナは、陸海でロシアの侵攻を押し返すため、イギリスから新たに5億ポンド(約960億円)超の軍事支援を受けると、リシ・スナク英首相は発表した。
スナクは4月23日にこの新たな支援策を発表した後、ポーランドを訪問して同国のトゥスク首相およびNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長とヨーロッパの安全保障について会談した。その結果、イギリスのウクライナ支援は2024年度だけで30億ポンド(約5800億円)規模に膨らんだ。
この発表前には、米下院が数カ月に及ぶ迷走の末、600億ドル(約9兆3000億円)規模の軍事支援を可決した。米国の支援策は、4月30日に上院で可決され、ジョー・バイデン大統領によって署名される見込みだが、追加支援の遅れでロシアを勢いづかせてしまった今、どれほど効果があるかについては懸念がある。
【動画】追加支援でウクライナ軍が受け取るストームシャドウ、ハスキー、ATACMSの実力
ウクライナのアナリスト、ヴィクトル・コヴァレンコは本誌の取材に対し、西側がウクライナ軍への支援を強化した今、ウクライナ軍司令部は、「反攻と国土奪還について、真剣に考え始める」必要があると述べている。
過去最大の支援パッケージ
スナク政権が4月23日に発表したところによると、今回の資金は、弾薬や防空システム、ドローン、技術支援の迅速な供給のために使われると説明した。ドローンは英国で調達され、支援金がウクライナ国内の防衛サプライチェーン拡大を促進するほか、英国防省が「英国からの単一のパッケージとしては過去最大」と呼ぶ装備が送られる。
装備の内容は、以下の通り。
・沖合攻撃艇(offshore raiding craft) 、高速攻撃艇(rigid raiding craft)、ダイビングボート、艦砲(maritime guns)を含む船艇60隻
・攻撃・防空ミサイル1600発以上
・長距離精密誘導ミサイル「ストームシャドウ」
・歩兵機動車「ハスキー」160台
・装甲車162台
・全地形対応車78台
・弾薬400万発
アメリカがウクライナに初めて供与する空中発射型の長距離精密誘導ミサイル「ストームシャドウ」はすでに、ロシアの黒海艦隊に対する攻撃で有効性が証明されている。重要なのは、支援パッケージのなかにウクライナ軍が切に必要としている小火器弾薬400万発が含まれていることだ。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴重で高価な装備」に猛スピードで直撃・爆破する瞬間
ニューズウィーク日本版 / 2024年5月13日 21時35分
-
米、予算成立後で3度目のウクライナ支援 対戦車ミサイルや防空装備
産経ニュース / 2024年5月11日 13時44分
-
ウクライナ軍、長距離ミサイルATACMSでクリミア大橋の攻撃を計画? レーダー撹乱用の米製デコイも使用
ニューズウィーク日本版 / 2024年5月2日 15時26分
-
【動画】追加支援でウクライナ軍が受け取るストームシャドウ、ハスキー、ATACMSの実力
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月24日 16時4分
-
ロシア、ウクライナの兵器基地への攻撃を強化へ=国防相
ロイター / 2024年4月24日 1時38分
ランキング
-
1ロシア兵力「突破に不十分」 NATO司令官「戦線維持可能」
共同通信 / 2024年5月17日 6時45分
-
2バイデン氏、録音公開拒否 機密文書事件の事情聴取
共同通信 / 2024年5月16日 23時52分
-
3習近平氏「ロシアも認める講和会議」支持…スイス政府主催の「平和サミット」不支持を事実上表明
読売新聞 / 2024年5月17日 13時40分
-
4プーチン氏、中露共闘で対ウクライナ「戦勝」狙う 中国は「戦後」の影響力確保か
産経ニュース / 2024年5月16日 21時28分
-
5北朝鮮、飛翔体数発を発射…約300キロ飛び日本海上に落下か 韓国軍
日テレNEWS NNN / 2024年5月17日 16時57分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください