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「あてはまらないと履歴書スルー」企業が人材紹介会社にこっそり出す"裏の条件"トップ6

プレジデントオンライン / 2021年1月15日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Wako Megumi

元リクナビNEXT編集長の転職コンサルタント、黒田真行さんは「企業は人材紹介会社に“裏の条件”を出している場合が多い」と言います。求人広告には書けないその裏条件とは──。

■中途採用で求められるのは「プレイヤー」

一般的に、転職は35歳を過ぎると難しくなると言われています。実際、特別なスキルを持ったスペシャリストや役員クラス以上のエグゼクティブは別として、いわゆる「普通の会社員」で中途採用率が高いのは20代から30代前半ぐらいまで。なぜそうなってしまうのか、企業の目線に立って考えてみましょう。

会社組織は、上のポジションに行くほど人数が少ないピラミッド型になっています。この底辺部分に当たるのが新卒採用者ですが、バブル崩壊やリーマンショック、コロナ禍といった事態が起きると、多くの企業が新卒採用を抑制。すると、時間とともに底辺部分より中間層のほうが増え、ピラミッドがいびつな形になってきます。

たいていの企業は、ピラミッドがいびつになると、きれいな三角形に戻そうとします。そこでよく行われるのが中途採用。新卒採用抑制で削られてしまった底辺部分を、中途採用者で補おうとするわけです。この場合、企業が求めるのはマネジャークラスではなく、リーダーの下で働くプレイヤーたち。

長く転職市場に携わってきた経験から言えば、一般的な企業のマネジャーは35歳前後。この下で働く人を求めているわけですから、例えば30歳と40歳の2人の応募者が来たら、30歳の人のほうが、マネジャーの扱いやすさの観点から「当社のニーズに適した人材」ということになります。

■企業が求人広告に書けない「裏の条件」

近年、転職市場でいちばん求人数が多いのは営業職ですが、これも27~32歳がゴールデンゾーンと言われています。ビジネスの基礎は身についているが伸びしろが大きく、さらに体力もモチベーションも高い世代ですね。上の世代に比べると転職経験も少ない人がほとんどなので、企業としても採用しやすい層と言えるでしょう。

では、35歳以上の転職者を企業はどう見ているのでしょうか。ひと昔前と違って、今の求人にはやみくもに年齢制限ができないというルールがあるので、広告には「35歳まで」といった条件は書かれていません。そのため、転職者はその企業が求めている職種やスキルはわかっても、35歳以上がアリなのかナシなのかはわからない場合がほとんどです。

しかし、求人を行う企業の多くは、何歳ぐらいの人を採用するか前もって決めています。広告にはそう書いていなくても、実際は35歳以上の人の履歴書は見ないという企業も少なくありません。本音では、35歳以下の人だけ応募してほしいと望んでいるわけです。

タブレットと求人広告
写真=iStock.com/vinnstock
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/vinnstock

とはいえ、年齢は求人広告には書けない“裏の条件”。そこで企業がどうするかというと、あらかじめ人材紹介会社に「この条件に合う応募者だけを選んでくれ」と依頼するのです。

規制緩和もあり、人材紹介会社はこの20年で数十倍にまで増えました。今ではほぼ全職種に人材紹介会社が関わるようになっており、このルートでの中途採用も急増しています。そして企業は、求人広告に載せる内容については一定のルールを守らなければなりませんが、人材紹介会社に要望を伝えるだけなら何を言おうと自由。

転職者にとっては、この裏の条件こそが本当に知りたい部分ではないでしょうか。

私の経験では、企業が裏で要望する条件のトップは年齢、次いで性別です。ほかにも、よく挙がる条件としては転職回数や各社での在職期間、これまでの失業期間、現在就業中か失業中か、などがあります。

こうした条件の中でベストとされるのは、転職回数1~2回、失業期間0、つまり現在就業中の人。35歳以上の場合、これに当てはまらないと面接にさえ進めないことも少なくありません。

■36歳になった瞬間に求人数が半減

このように、35歳を過ぎてから転職しようとすると、若かった頃に比べて格段にハードルが上がります。しかも、35歳を過ぎると求人数そのものが半減し、その後も40歳、45歳と5歳上がるごとに半減していきます。年齢による選別の実態は表には出ませんが、この厳しい現実を、私は長年の現場経験を通してはっきりと実感してきました。

「年齢に応じたスキルを持っているのに、36歳になった瞬間に自分の価値が半減するなんて納得いかない」と思う方も多いでしょう。ただ、半減するというのは、あくまでも求人件数から見た「一般的な市場価値」の話。その人に確かな価値やスキルがあれば、数は少なくとも必ずほしがる企業があるはずです。

私は以前、リクルートで求職者と直接関わる仕事をしていました。優秀なのに35歳以上というだけで転職先が見つからない、そんな人が非常に多く、ずっと「何てもったいないんだろう」と思ってきました。そこで退職後に、35歳以上を対象にした転職支援サービスを立ち上げたのです。

このサービスは、転職希望者のスキルや要望に応じて、求人広告を出していない中小企業へ売り込みをかけるもの。成果としては、毎月2000人ほどの転職希望者のうち、他のサービスを併用している人も含めて約7割が転職に成功しています。

■35歳以上でもニーズは確実に存在する

つまり、転職希望者とその人をほしがる企業とをうまくマッチングできさえすれば、35歳以上の転職は決して難しくないのです。特に中小企業は人材不足に悩んでいるところが多く、「優秀な人材がいれば年齢にかかわらず採用したい」と思っているケースが少なくありません。

問題は、転職者がそうした企業と出会えるかどうか。「35歳転職限界説」がささやかれるのは、この出会いが一定の年齢を境にガクッと減るからでもあると思います。

一方、ここ数年の転職業界では「35歳転職限界説は過去のもの」という論調も出てきています。しかし、こうした話はエグゼクティブやスペシャリストに強い人材紹介から発信されていることがほとんど。ハイクラス人材の転職は確かに活況ですが、そこに当てはまる人はほんの一握りです。

大部分の転職者にとっては、35歳転職限界説は今なお生きていると言っていいでしょう。この現実をしっかり見つめた上で、年齢にこだわらずいい人材を求めている企業を、積極的に探していただけたらと思います。

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黒田 真行(くろだ・まさゆき)
転職コンサルタント、ルーセントドアーズ代表取締役
1988年、リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。2014年ルーセントドアーズを設立、成長企業のための「社長の右腕」次世代リーダー採用支援サービスを開始。35歳からの転職支援サービス「Career Release 40」、ミドル・シニア世代のためのキャリア相談特化型サービス「CanWill」を運営している。著書に『転職に向いている人 転職してはいけない人』『35歳からの後悔しない転職ノート』『採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ』など。

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(転職コンサルタント、ルーセントドアーズ代表取締役 黒田 真行 構成=辻村 洋子)

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