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「最低1日3個」コレステロールを気にせず卵をどんどん食べるべき理由

プレジデントオンライン / 2021年2月24日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mirzamlk

食事で認知症を予防するにはどうすればいいのか。分子整合栄養学に詳しい佐藤智春氏は「1日3個、卵を食べるといい。卵に含まれるレシチンが、脳機能を活性化させる」という——。

※本稿は佐藤智春『男は食事で出世させなさい』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。

■「卵を食べるとコレステロールが上がる」という迷信

プロテインスコアが最高の100点満点である卵は、私の大好きな食材のひとつ。

毎日食べますし、個数を気にしたことはありません。講演や個人のカウンセリングでも、今日からできる栄養アドバイスとして、「卵は最低1日3個を毎日食べてくださいね!」と、最優先の食材としておすすめしています。

そこで、すかさず、この質問。「卵を食べすぎると、コレステロールが高くなるからよくないのでは?」

やっぱりそうくるよね、とつぶやきながら、25年間、この質問に回答してきました。

そもそも、卵を食べるとコレステロールが上がるという迷信はどこからきたのか?

話は1913年にさかのぼります。

ロシアの病理学者ニコライ・アニチコアが、ウサギにコレステロールを与えたところ、耳の血管に動脈硬化が起こったことから、コレステロールはわるいといわれるようになりました。

しかし、ウサギは草食動物です。草食動物は、小腸からコレステロールをどんどん吸収し、動脈にコレステロールが付きやすいのです。肉食動物はコレステロールを食べても、小腸で必要以上に吸収せず、足りない分をさらに肝臓が合成していることがわかっています。人はもともと雑食ですから、小腸で吸収がコントロールされています。食事からのコレステロールは3分の1しか血液のコレステロールにならず、足りないコレステロールは肝臓で再合成され、毎日、人体に活かされています。この見事な調整能力を、生体恒常性(ホメオスタシス)といいます。

卵についていえば、人は1日に10個食べても大丈夫。これは、私が実際に行った事実です。

■卵は栄養満点で手軽なスーパーフード

もちろん、卵アレルギーの人は別ですが、そうでなければ、卵というのは子どもにとっても大人にとってもお年寄りにとっても、不足しがちなタンパク質やビタミン、ミネラルを補い、「隠れ栄養不足」を改善してくれる、手軽なスーパーフードです。

目玉焼き、オムレツ、卵焼きに茶碗蒸し、温泉卵にゆで卵――、毎日せっせと、おいしく食べることが、「健康」への近道です!

卵にはこんなにたくさんの栄養素が含まれている!

図表1を見ていただいてもわかるように、卵にはタンパク質、脂質のほか、カルシウムやリン、鉄や亜鉛などのミネラル、ビタミンC以外のビタミン類がすべて含まれている――。

それは卵のなかに、ヒヨコの脳、神経、内臓、筋肉、骨格、それらすべての細胞をつくるために必要な栄養素がつまっているからです。

私たちにとって、卵は人体の良質なタンパク源であり、食事からしか摂れない必須アミノ酸の宝庫なのです。

そもそも、コレステロール値が高いのは悪いことではなく、むしろ低すぎるほうが問題なのだということが、さまざまな研究者から報告されています。サプレッサーT細胞の発見者である順天堂大学医学部特任教授の奥村康先生は著書のなかで「コレステロールの高い人は頭がいい」ともおっしゃっています。

■コレステロールは脳の「健康」に欠かせない栄養素

コレステロールの高い人は、頭がいい。

それも、じつは冗談ではないのです。

なぜなら、コレステロールは脳の「健康」に欠かせない栄養素だからです。

佐藤智春『その不調、栄養不足が原因です』(主婦の友社)
佐藤智春『その不調、栄養不足が原因です』(主婦の友社)

人体は60兆個の細胞でできていますが、そのすべての細胞膜の材料となるのも、このコレステロール。男性ホルモン、女性ホルモンをつくり、さらにストレスと戦ってくれるステロイドホルモンなどの材料にもなりますから、コレステロールが高いほうが精神が安定し、頭の働きもよくなって、長生きするという報告が出てくるのも当然と思えます。

コレステロールを下げる薬を飲んでいる人の自殺率が高い、という統計もあります。

もちろん、コレステロールが動脈硬化を引き起こすこともあります。

けれども、日本の医療現場では、コレステロールが高いことが悪いと、根強く刷り込まれているのは悲しいことです。

大切なのは、善玉、悪玉のバランスです。総コレステロールの数値が高いことだけを取り上げ、高いとすぐに薬で下げようとしてしまうのは乱暴なこと。25年間、多くの血液データを見せていただくなかで、そう考えるようになりました。

■ポイントはコレステロール値のバランス

そもそも、何が善玉で、何が悪玉なのか?

善悪で分けることにも疑問はありますが、しかし血液検査の結果に「HDL」と表示されているのが善玉で、「LDL」と表示されているのが悪玉、と覚えておくことは知識として必要です。

LDLは細胞膜やホルモンの材料であり、血液の流れによって全身に運ばれます。あらゆる場所に滞りなく運ばれたあと、余ったコレステロールを肝臓に戻す、いわば「お掃除コレステロール」がHDLで、医療現場では善玉と呼ばれるようになったようです。

赤ちゃんが成長するときも、妊娠中の女性も、多くの細胞分裂をくり返す子どもにも、ストレスの多い旦那さんにも、コレステロールは大切な材料だということをしっかり覚えてください。

体内のLDLコレステロールが必要な場所に届けられ、使われなかった分はHDLによって回収される。すばらしいメカニズムであり、人体の調整力ですね。そして、ポイントはコレステロール値のバランスです。LDL値をHDL値で割って、2以下であれば問題ないとされています。クライアントが不安に感じている場合は、心臓や頸動脈エコーなどの画像診断や甲状腺検査のアドバイスを必ずしています。

■やみくもにコレステロール値を下げると、多くの疾病の引き金に

「卵を食べるとコレステロール値が高くなるからよくない」といわれ、画像診断を受けることもなく鵜呑みにすることで、「脳」の健康に欠かせないコレステロールの数値まで下げてしまわないように。さまざまな体調不良を感じるのは「脳」ですから、やみくもにコレステロール値を下げれば、多くの疾病の引き金となりかねないことは想像がつきます。

コレステロールが危険といわれるようになったのは、LDLコレステロールが酸化しやすいためです。酸化コレステロールは体内でいろいろな悪さをしますから、酸化させないように、加熱、加工された食品などに含まれる劣化した油には注意をすることが大切です。

脂質代謝異常や、糖質過多の食生活による体の糖化や酸化も原因のひとつになります。内臓脂肪や、脂肪肝と指摘されている方は注意をしてください。コレステロールを薬で下げようとする前に、まずは正しい減量と運動、食習慣の見直しをするのが、ほんものの健康体質になる鍵です。

卵のコレステロールは、いわゆる善玉のコレステロールで、体内に入ると悪玉コレステロールを下げる働きもあるといわれていますので、安心して食べてください。

ちなみに、私はこの栄養医学に出会う前の1年間、整体師の先生にすすめられて、1日10個の卵を食べつづけたことがありますが、27年たっても、動脈硬化はまったくありません。

今も、毎日3~4個の卵はしっかり食べていますが、コレステロール値は理想的なバランスです。

■40歳以降は記憶に関する食材を積極的に食べること

コレステロールが高くなるという説に振り回されて、受験生のお子さんや社会で活躍する人たち、とくに高齢の方が卵を摂らない食事をしていると聞くと、ほんとうに悲しい気持ちになります。

いまの日本社会で働く方は、さまざまなストレスにさらされています。人より抜きん出て結果を出すには、脳の疲労を克服し、集中力をアップするためのサポートを、身近な方が工夫することが大切です。

佐藤智春『男は食事で出世させなさい』(ポプラ社)
佐藤智春『男は食事で出世させなさい』(ポプラ社)

そんなときこそ、卵です。

ストレスが多ければ多いほどタンパク質が必要とされますし、集中と記憶に欠かせないレシチンが豊富なのですから、ほんとうに有り難い食材なのです。

大事な会議、大事なプレゼンなどの予定を小耳にはさんだら、朝食に卵料理は必ず準備してくださいね。

高齢になってからの心配は、なんといっても認知症です。

いま、徘徊などで行方不明の方は年間1万人を超えているそうです。体だけでなく、脳の栄養を学ぶのは、大切な人を守りつづけるうえで、とても大事なことです。

とくに40歳以降はそれまでのツケがきますから、記憶に関する食材を積極的に食べることは必須です。好き嫌いも、その人の栄養状態を左右するので、そのことによってどんな栄養素が不足しているかも大きなポイントになります。

エイジングが進むと、あらゆる症状が薬で処理されることが多くなります。

医師も心配して多くの薬を処方してくれるのですが、臓器も年をとります。

薬は生体にとって異物。栄養は生体の材料。薬の前に、副作用のない栄養で体を労わりましょう。

薬を必要とする場合にも、栄養は副作用の予防に必要です。それを考えて食事をつくることは、大切な人の未来を守ること。

病気になってから後悔するのではなく、未然に防ぐことが大切です。

■卵の黄身は認知症予防に効果的

集中力が散漫になったり、ここぞというときに重要なことを忘れてしまう、などは大切にしたいサインです。そんな症状が気になったら、認知症予防のためにも、卵の黄身を食べましょう。

タマゴ御飯
写真=iStock.com/gyro
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gyro

黄卵に含まれるレシチンが、脳の神経のいちばんのキー食材です。

レシチンの主成分は脂質ですが、水と油を仲良くさせてくれる天然の乳化剤でもあります。卵のレシチンは、神経細胞に多く存在し、神経伝達物質のアセチルコリンの原料となり、脳機能を活性化します。アセチルコリンが不足すると記憶障害やアルツハイマー病等の脳血管障害の原因となることもあると報告されています。

頭の回転をよくしたいと願う受験生はもちろん、最近、物忘れがひどくなったと気になる人も、認知症を不安に思う親たちにも、ぜひ1日3個の卵を。善玉コレステロールを上げ、脳の神経細胞を活性化させるためにおすすめしたいのです。

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佐藤 智春(さとう・ちはる)
バイタルアナリスト®
分子整合栄養医学協会認定・分子整合栄養アドバイザー。バブル時代、スタイリストとして多忙をきわめ、体調をくずす。1995年より分子整合栄養学を金子雅俊氏に師事。その後、セルフメディケーションの提案をライフワークとする。キャリアアップを目ざす多くの女性に向け、ライフステージ・マネジメント®講座や企業の講演も行っている。著書に『卵を食べれば全部よくなる』(マガジンハウス)、『男は食事で出世させなさい』(ポプラ社)、『中高生の身長を伸ばす7つの習慣』『その不調、栄養不足が原因です』(ともに主婦の友社)などがある。

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(バイタルアナリスト® 佐藤 智春)

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