「電車の空席をいち早く確保」40代で急速に老け始める人の残念な行動習慣3つ
プレジデントオンライン / 2021年4月19日 9時15分
※本稿は、池谷敏郎『内臓脂肪を最速で落とし、血管年齢が20歳若返る生き方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
■40代で一気に進む「顔の老化」
40歳を過ぎた頃から、人によって一気に見た目の「老い」が進む方がいます。俗に「老けて見える」という言い方をしますが、これはいったいどのような現象なのでしょうか。
老けて見える要因の第一は、やはり「顔の老化」です。
有名俳優を起用した、ある男性化粧品のテレビコマーシャルが話題になりました。
「この人はいつも若々しい」「なぜだ?」
「食べ物か?」「ネクタイの色か?」
「肌のうるおいだ!」
さすがに上手につくるなと感じましたが、そう、最初に目をひく顔の表情、そしてその肌のうるおいやハリが、見た目の若々しさの決め手です。
■「ぽっこりお腹」で進む見た目の老化
老けて見える要因の2つめは「ぽっこりお腹」です。「中年太り」という言葉が表すように、内臓脂肪がたっぷり詰まったスタイルがそのような印象を与えているのです。
背中を丸め、首が前に垂(た)れ下がり、お腹が前に突き出て腰が落ちている──そんな体形の中年男性を駅のホームや街中などで見かけます。そういう人はおそらく、見た目年齢が実年齢よりずっと上だと思います。
かつてアメリカのエリートビジネスマンの間では、「太っている人」イコール「自己管理ができていない人」と判断される傾向にありました。最近は日本でも、肥満というだけで評価がマイナスになるケースもあると聞きます。
「ぽっこりお腹」を抱えた姿より、スリムで引き締まった体形の人のほうが、プライベートでモテるだけでなく、ビジネスシーンでも、初対面から相手の高評価を得て、ライバルをリードできることは間違いありません。
■老化の象徴「ET姿勢」
老けて見える要因の3つめが「姿勢」です。猫背で、まるで映画『E.T.』に出てくる宇宙人E.T.(THE EXTRA-TERRESTRIAL)かのように背中を丸めたシルエットは、まさしく老化の象徴です。
私はこのような状態を「ET姿勢」と呼んでいるのですが、姿勢はその人のメンタルの状態、健康度をはかる指標でもあります。
すっと背筋を伸ばしているだけで、見た目の印象が20歳若返るといっても過言ではありません。
■姿勢が悪く、老いて見える原因は「筋肉の減少」
姿勢が悪くなる主な要因は、筋肉量の減少、筋肉の衰(おとろ)えだと考えられています。
筋肉量は男女ともに、30代以降、加齢するほど減少します。筋肉量と年齢に関する研究はいくつかありますが、2012年の筑波大学・久野研究室のデータによると、20代に比べて、40代では10%、50代では20%、60代では30%も筋肉量が減ってしまうといいます。とくに、上半身に比べて下半身の筋肉量の減少率が大きいのが特徴です。
筋肉量の減少は本人が気づかないうちに徐々に進みますが、筋肉量が減り始めると、姿勢が悪くなるだけでなく、日常的に体を動かすことがおっくうになって、フットワークが悪くなっていきます。
■「衰えやすい人」の3つのNG習慣
次に心当たりのある方は、要注意かもしれません。
②2階に上がるだけでも、階段を避けてエスカレーター、エレベーターを探す
③徒歩圏の移動でも、車やタクシーを使う
このような生活を続けていると、数年後には筋肉はいっそう衰えて、姿勢はますます悪くなり、さらには代謝が落ちて肥満になり、見た目も体の中身もすっかり老化するという悪循環に陥(おちい)ります。
「顔の老化」「ぽっこりお腹」「ET姿勢」が、「老けて見える」3大要因であることは間違いありません。ということは逆に、この3つを解消できれば、「見た目年齢」は一気に若返る、ということです。
■年齢を重ねるほど、見た目の若さの価値が上がる
私は30代半ばから「見た目年齢」を意識するようになりました。36歳で身長173センチ、体重79キロ、血管年齢45歳という「メタボ」状態から一念発起。内臓脂肪を落として「見た目」を変えました。
そして50代後半になった今は、体重64キロ、体脂肪率10%、血管年齢28歳に改善し、その状態をキープし続けています。
今、心から実感していることがあります。それは、実年齢が増せば増すほど、見た目の若さを保つことで気持ちも若く、ポジティブでいられるということです。
若い頃は、ほかの人と比較して、自分の美醜に悩んだり苦しんだりすることが少なくありません。ところが年齢を重ねてくると、気づくのです。歳をとってからは、持って生まれた美醜の差よりも「見た目の若々しさを維持していること」の価値がより高まる、と。
■歳をとるほど“若さを保っている人”は際立つ
中年にもなれば、多くの方が「もう歳なんだからしょうがない……」とあきらめてしまいがちです。でも、そういう方々に私が心からお伝えしたいのは、「中年なのにスリム体形」「中年なのに背筋がしゃんとしている」ということはものすごく得をする、ということです。
今の日本では、40代以降の中年男性の3人に1人が肥満といわれます。そうしたなかで、ちょっと引き締まった体をしているだけで、カッコいいと見られます。希少価値があって、より高評価が得られます。
私自身の経験からいっても、50代になってから、以前よりも「スリムですね」「とても実年齢には見えませんよ」と褒(ほ)めていただけることが増えただけでなく、医師としても生活指導の言葉に説得力が増しました。
歳をとるほど、“若さを保っている人”は公私ともに際立って輝いてくるのです。
■ネガティブな気持ちが「見た目」の老化を進める
もうひとつ、見た目に大きな影響を与えるのが「心の持ちよう」。つまり、「気持ちの若さ」です。実は、これがもっとも重要な要素だといってもいいかもしれません。
「見た目」が若返ると周囲から褒められ、気持ちも上がる。逆もまた真なりで、前向きな若々しい気持ちになることで、背筋はいっそう伸び、日々の活動量も自然に増えていきます。そして、何を食べるか、何を着るか、誰とどう過ごすかなど、生活習慣すべてが変わってくるのです。
ところが一般には、加齢にともなってネガティブな気持ちが現れがち。あなたは次のいずれかに心当たりはないでしょうか。
②ちょっとしたことでイライラしたり、怒りが爆発してしまう
③新しい場所や知らない人に会うのを避けがち
④新しいモノ、新しい技術は面倒だから使わない
⑤気力がなくて何をやるのも面倒くさい
実は男女とも、40代以降に始まる更年期(こうねんき)や、それを乗り越えた初老期に、うつ症状を発症するケースが少なくありません。精神面だけでなく、肩凝りや頭痛、動悸(どうき)やのどの詰まり、肌のかゆみなどの身体症状をともなうこともよくあります。
気持ちが老化することで、体の老化も進む典型的なパターンだといえるでしょう。
とくに、仕事も家事も、そして介護もがんばって、ストレスを感じてもじっと我慢してやり過ごすタイプの人は、うつ状態になるリスクが高いといえます。
■「池谷式・血管若返り術」を実践しよう
そうした数々のリスクを乗り越え、若々しい「見た目」と「血管」を手にするため、私自身が実践し、患者さんたちにもおすすめしているのが、「池谷式・血管若返り術」です。
これはいったい、どのような方法だと思われますか? つらいものはイヤですよね。私も同じです。
詳しい方法は新著『内臓脂肪を最速で落とし、血管年齢が20歳若返る生き方』でご紹介しますが、「特別なこと」「難しいこと」は何ひとつありません。しかし、医学的な根拠に基づいたものであり、私が自分の体を使って試し、厳選したメソッドです。また、食事、運動や体の動かし方、入浴、睡眠、ストレス対策など生活習慣全般にわたる内容ですが、誰でも簡単に実践でき、経済的な負担もほとんどありません。
あとは毎日コツコツ継続するだけですが、その効果は驚くべきものがあります。「実年齢よりもずっと若く見える」という見た目の若返りだけでなく、次のように全身の健康にもつながります。
②痛みやだるさ、むくみや冷えなどの不調がなく、体を思い通りに動かせるようになる
③高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が改善する
④脳卒中や心筋梗塞(しんきんこうそく)、がんや認知症、感染症の重症化などのリスクが低減する
こうした体と心の内側からあふれ出る「健康的な若さ」こそ、私たちが目指すべきものだと信じます。
■気づいたときが、変えどき、始めどき
「池谷式・血管若返り術」は、早く始めれば始めるほど、そして、長く続ければ続けるほど、少しずつお金が貯まるように、大きなリターンが期待できます。でも、だからといって、「もう遅い」とは考えないでください。
いくつになっても、何かを始めるのに「遅すぎる」ということはありません。
とくに「血管」にはすばらしい回復能力が備わっていることがわかっていて、いったん老化してしまった血管でも、生活習慣を変えるだけで、しなやかで詰まりにくい状態へと若返らせることができるのです。
この記事に触れた今が、あなたにとっての「始めどき」です。今から開始することで、あきらめてしまった人よりも、頭ひとつ、ふたつ、簡単に抜け出せるはずです。
実際には、血管年齢を20歳も若返らせる必要はありません。以前よりちょっと肌にハリが出てきた、髪につやが出てきた、スリムになった、姿勢が良くなった、気持ちが前向きになった……それだけで、あなたの印象は驚くほど変わります。
「成功のコツ」は、毎日コツコツ、あきらめないで続けていくこと。それが習慣となって、気づいたときには、大きな変化、リターンを得ているはずです。
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池谷医院院長、医学博士
1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。97年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとして、数々のテレビ出演、雑誌・新聞への寄稿、講演など多方面で活躍中。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医。著書に『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』(東洋経済新報社)、『「末梢血管」を鍛えると、血圧がみるみる下がる!』(三笠書房)、『血管を強くして突然死を防ぐ!』(PHP文庫)などがある。
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(池谷医院院長、医学博士 池谷 敏郎)
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