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「これがわかれば社長になれる」IKEAと焼肉屋と公文式にある"儲けの共通点"

プレジデントオンライン / 2021年4月23日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/cloudytronics

儲かるビジネスにはどんな共通点があるのか。東大在学中に起業し、現在年商10億円の企業を経営する事業家bot氏は「顧客に作業を押し付けるビジネスは儲かる。IKEAと焼肉屋と公文式はその点で共通している」という——。

■「客に仕事を押し付ける」ビジネスは強い

IKEAと焼肉屋は同じビジネスモデルである。

そう聞いてどのくらいの読者がピンと来るだろうか。実はIKEAと焼肉屋は、本質的には、ビジネスプロセスの一部(家具を組み立てさせる/肉を焼かせる)を客に押し付け、かつそこにエンターテインメント性を付与することでWIN-WIN風の関係を生み出しているという点で同一のビジネスモデルである。本稿では、この「客に仕事を押し付ける」ビジネスを詳しく考えてみたい。

日本の教育業界の中でひときわ異彩を放つ企業、それは公文教育研究会である。公文は日本の教育業界において珍しくグローバル展開に成功し、国内1万6000教室だけではなく、海外でも8800教室もの展開に成功している。

公文のビジネスの本質は、読み書きと計算のノウハウをモデル化し、自習している子供を先生(といっても教育経験のない素人である)にサポートさせるだけ、という仕組みそのものにある。

塾というのは生徒何人かにつき先生が1名つき、各問題の解法を解説し、解けるまで導いていく、そしてその先生の「解説力」「人気」「有名学校に合格させる力」といったもので集客する、というのが基本的なビジネスモデルである。

一方で、公文は肝心の「解ける」というところを客である生徒に丸投げし、先生はあくまでそれをサポートするだけというモデルを作り上げることで、「先生」になるためのハードルを極端に下げている。

もっとも、そもそも学習というのは自学が基本にあるべきで、「生徒にやらせる」ことと「先生になるハードルを下げる」ということが表裏一体となって機能していることこそがそのポイントであると言える。

■校舎数を伸ばし続けている武田塾

このビジネスモデルを、高校生ターゲットに切り替えて、校舎数をみるみる伸ばしているのが「武田塾」である。2004年の創立以来するすると校舎数を伸ばし、現在では全国380校の展開を誇っている。

もちろん、高校生の指導ともなると、公文のように「近所のおばさん」による指導という訳にはいかないが、とはいえ集団授業や密着型個別指導に比べ、「自習サポート型の塾」であればはるかに効率的に運営できることは想像に難くない。

授業風景
写真=iStock.com/Milatas
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Milatas

そして、この2つの企業は、どちらもそのビジネスモデルの汎用性の高さ故に、フランチャイズとして校舎の展開を行っている。つまり、「客に作業をさせる」というビジネスモデルで「ローリスクの校舎展開ノウハウ」を作り上げ、そのノウハウをフランチャイズ本部として提供しているビジネスである、と考えられるのである。

■無料で宣伝要員を集める東進ハイスクールの戦略

「作業を客にやらせる」のが公文であるならば、「宣伝を客にやらせる」のが東進ハイスクールである。「今でしょ」で一躍有名になった東進だが、地上戦での宣伝にも抜け目がない。

というのは、東進は、少なくとも私が東大に合格した年度では「他の予備校の模試でA判定を取った生徒」を「東大特講」という講義に無料で呼び、その受講者を合格者数にカウントしていたからだ。

現時点でどのような運用になっているかは存じ上げないが、少なくとも2000年代においてそのような運用が行われていたことは間違いない。私もありがたいことに無料で受講させて頂き、そして、東進には1円も支払っていないにも関わらず、合格者氏名にも名前がしっかりと乗っていた。

要するに、東進にかぎらず、予備校ビジネスにおいては、「金を払う客」と「合格者実績を稼ぐための客」が分かれており、後者は宣伝のネタとしての客なので、金を払ってもらわなくてもよいという仕組みになっているのである。

そもそも成績が良い生徒を無料で呼べば、合格者数実績が伸びるのは当たり前だ。冷静に考えると、塾の実力というのは、合格者数ではなく、学力をどれだけ伸ばしたかで図られるべきなのだが、実際のところ測定するのは困難なので、目先の合格者数を増やすことで顧客を獲得するのが一番効率の良い宣伝手法なのである。

■「相手にやらせる」ことで責任を押し付ける

「面倒なビジネスプロセスを他人に押し付ける」という考え方は、実は日々の仕事でも活用できる。

たとえば広告代理店がクライアントに対してクリエイティブ案の提案を行う場合、用意する3案のうち2案は「当て馬」として、1案だけ「本命」を入れるというやり方がある。提案する時点で本命が選ばれることは自明なのだが、クライアントは「自分で決めた」ということになるので、たとえ施策が失敗したとしても双方に責任があることになる。これが1案だけの場合は、「提案が悪かった」として責任を追及されてしまう。

また、上司との日常の会話においても、自分の考えを持っておきながらも、あえて上司にアイデアを出させ、「さすが、課長は天才ですね!」などと適当におだてて、仕事をすすめるというのも良い方法のひとつであろう。

■プロセスにエンタメ性をもたせることで作業を面白くする

冒頭のIKEAと焼肉の例に戻ると、ただ「作業を客に押し付ける」のではなく、「その作業にエンタメ性を持たせる」というのが隠れたもう一つのキモである。IKEAであれば、DIYという文脈で、家具を組み立てるのが楽しいという人は少なからずいるし、焼肉でも「みんなでワイワイ焼くのが楽しい」という経験をしたことがある人は結構多いだろう。

バーベキュー
写真=iStock.com/wombatzaa
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/wombatzaa

ここまで書いてきたが、この記事を読んで、「よし、俺も“自習サポート型の塾”で大儲けだ!」と思う人ははっきり言ってビジネスに向いていない。重要なのは、儲かるビジネスの陰にどのような考え方が潜んでいるか、また、消費者としてはどのような罠が潜んでいるかをドライな目で見抜くことこそが重要な点である。

そして、その視点を日頃の仕事でも生かせないか、と考えることこそがさらに重要なのだ。私たちはビジネスマンであると同時に消費者である。ビジネスの仕組みを知ることは、消費者としてもよりよい選択をすることに繋がる、また消費者として良い選択をすることが、回り回って良いサービス提供、ひいては良い社会に結びついていくと筆者は考えるのである。拙著『金儲けのレシピ』から、儲かるビジネスの仕組みを盗んで欲しい。

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事業家bot(じぎょうかぼっと)
経営者
東京大学在学中に起業、のち中退。フランチャイズチェーン企業に事業売却後、売却先企業にて、新規事業及び経営企画管掌の役員を務める。再度起業し、現在年商10億円以上の企業を経営。起業しビジネスを作っていくプロセスの中で、「金儲け」のノウハウが確立していないこと、既存のビジネス書があまり当てにならないことを痛感し、「金儲けのノウハウ」をまとめることを決意。著書に『金儲けのレシピ』(実業之日本社)などがある。

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(経営者 事業家bot)

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