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「世帯年収1000万円超→貯金ゼロ家計」再婚で義理の母87歳、息子27歳を抱えた54歳女性の誤算

プレジデントオンライン / 2022年1月20日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/liza5450

再婚の相手は、ともに初婚の配偶者と死別した人。共働き(正社員)の二馬力なら、老後も安泰と算段を立てていた54歳女性だが……。誤算は、同居する87歳義母が要介護状態になったこと。ケアするため勤務シフトを変えると収入が激減し、貯金がほとんどできなくなった。家や車のローンが20万円近くある上、食費・水道光熱費・通信費などが使い放題で家計を悪化させていた――。

■初婚の配偶者とは死別…そんな50代男女が再婚後に悔やんだこと

「お金の出入りを“見える化”して、将来を見据えられる家計づくりをしたいんです」

ともに会社員の田中良一さん(仮名/56/メーカー)と孝子さん(仮名/54/経理事務)が夫婦一緒に家計相談にやってきて、こう言いました。いずれも、初婚の配偶者とは死別し、その後、結婚相談所に登録して再婚を果たしました。

孝子さんには子供はいませんが、良一さんには息子(27)がおり、87歳の母親の面倒も見ています。結婚後すぐ、孝子さんは4人家族の主婦となったわけです。

母親は高齢の割にしゃきっとしている印象だったそうですが、結婚の少し前から急速に認知機能が低下。足元もおぼつかず、今では移動に軽い介助が必要で、老人用のおむつが必須な状況です。そのため、再婚後もこれまで通りに働く予定でいた孝子さんですが、やむを得ず仕事を減らし、介護に時間を割くシフトを取らざるをえなくなりました。

訪問サービスやデイサービスなどを利用しつつ、可能な仕事はテレワークに切り換えていますが、残業代が付きにくくなったことや、どうしても欠勤しなくてはいけない日もあることで、収入は今までの6割ほど(手取り月収約20万円)に。月13万円も収入がダウンしたわけですから、かなりの痛手です。

孝子さんとしては再婚する際、収入が二馬力(共働き)になれば、老後資金を順調に貯められるという目算を立てていました。税込みの年収は二人合わせればボーナス込みで1000万を軽く超えていました。ところが現状、世帯収入も支出も同じ61万円。以前より収入が減り、支出が増えてしまった結果、貯金が全くといってよいほどできない家計状況に転落しました。

■家と車のローンが20万円近く、食費10万円、水道光熱費5.5万円…

このようなことから、結婚前から2人とも家計には関心が高かったのですが、一層、支出の仕方や貯金の増やし方への関心が強まったのだそうです。

コロナ禍で収入が減った人の話も見聞きしましたし、キャッシュレス決済が増えたことも実感しています。お金や家計の面で変化が起きているという感覚を持っているので、自分たちもその変化についていき、しっかりとお金を貯められるようになりたいと考えていると話します。

しっかりと考え、管理されている印象を持ちながら家計状況を伺いました。すると、まだ収入が減ったことに対応しきれていないのか、新しい家族との生活を手さぐりでしている状況なのか、毎月、手取り収入のほとんどを使い切っている状況だったのです。

良一さんが以前に購入した分譲マンションのローン返済が月約15万円、車のローンが月3万円以上あるのは、しかたありませんが、誤算は食費でした。自粛期間中に増えたデリバリーサービスなどを週に複数回、外食代わりに利用していましたし(食費:月9万9000円)、そもそもあまり節約を意識せず水道光熱を使っていたところに(月5万6000円)、テレワークで在宅時間が増え、さらに支出が増えました。通信費も、より安定してつながるようにと格安業者を避けるようです(月4万3000円)。さらには義母の介護費・医療費(月4万4000円)や外出自粛の影響で、家で暮らし仕事をする負担が増えてしまっている状態です。

妻の給料は減り、家族全体の支出は増える状況が一層浮き彫りとなり、夫婦はますます家計改善、やりくりを頑張らなければと思ったようです。

ただ、現状では、まだ夫婦の家計の合わせ方がうまくいっていない様子。全体の収支はある程度共有しているのですが、家計の記録ができていないので、何にいくら使っているのかが見えていないことも、家計をうまく合わせられない一因かもしれません。

夫婦はキャッシュレスが進んだことをきっかけに、最近はほとんど現金を使わず、キャッシュレスで会計を済ませています。ただ複数の決済手段を使っているようなので、支出の全体像が見えにくくなっているのです。

【図表】田中家のメタボ家計BEFORE→AFTER

■支出を月7万7000円削減して、貯金ができる家計に改善

そこで、支出の把握と共有の目的で、夫婦でやりくりするお金と、その支出状況を共有できるプリペイドカードを利用してみることにしました。チャージをしたお金だけを使うルールにすると、自分たちで利用上限額を決められますし、カード番号があるのでネット決済や○○Payなどにひも付けて使うことできます。しかも、支払いもプリペイドカードのアプリに記録されますから、振り返りもしやすくなります。

さっそく利用をはじめ、互いに支出やお金の減り具合を共有していくと、支出にセーブがかかるようになっていきました。「相手が見ているからおかしな使い方はできない」そんな気持ちも働いたようです。

通帳を見て、困惑し頬に手を当てている女性
写真=iStock.com/yamasan
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/yamasan

まず、自宅で利用していたデリバリーが減りました。ミールキットを使うなど、簡単でも自分で調理をして食費をかけない工夫ができるようになりました。買い物は計画的にするようにし、回数も週に2~3回に減らしました。支出が減る(7万2000円に減額)とともに、家事や自分のための時間を作れるようになりました。

水道光熱費はやむを得ない部分もありましたが、節水シャワーヘッドを使い水道、ガス代を減らし、電気は電力事業者の変更を検討し、実際に変更をしてみました(3万8000円に減額)。

通信費については、これも極端に減らすことはできませんでしたが、仕事で必要となるネット回線を重視し、スマホは大手キャリアのオンライン専用プランに変更し、支出を抑えることに。妻のスマホは仕事先との連絡がスムーズにできるよう、かけ放題も付けました(2万4000円に減額)。

母のおむつ代など減らせないものはそのままに、ストックの蓄えすぎを見直し、消耗品の使い方も見直して早く減らない工夫をしました(日用品費2万3000→1万6000円)。そのほか、クリーニングを減らす、通院以外の移動はできるだけ自転車や徒歩でするなど行動を変え、全体で7万7000円削減できました。

今までの余剰額と合わせると、8万円ほど貯蓄に回せる見込みで、順調にいけば、ボーナスも合わせながら、1年で100万~130万円ほど貯蓄していけるかもしれません。

余剰額が安定してきたら、つみたてNISAなどでの運用も検討していく予定としました。定年までに潤沢な貯蓄を作ることは難しそうですが、退職金などと合わせると急には困らない程度のお金が準備できそうですし、会社の方針が変わって、夫は65歳まで会社に残ることもできそうだと話していることも不安を少なくする材料になっています。

急な生活の変化に介護、自分たちの老後とたくさんの困難を抱えた田中さんの家計でしたが、家計の共有が進むことで徐々に改善へと向かっています。環境の変化を受容すること、協力し合える関係づくり、そういった取り組みが、家族関係も家計もよい方向へ進めるきっかけになりました。やはり、家族間のコミュニケーションの取り方ひとつで、家計は大きく変わるのです。皆さんも、なにかにつまずいたり、困難に直面したときは、ぜひ、家族に相談してみてください。一人で抱えるよりも、ずっと良い結果に進んでいくこと、間違いなしでしょう。

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横山 光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万3000件を突破。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は60万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)や『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を代表作とし、著作は143冊、累計330万部となる。オンラインサロン「横山光昭のFPコンサル研究所」を主宰。

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(家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭)

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