＜朝晴れエッセー＞ジジババの昼飲み

夫の昔の職場の友人2人と、50年ぶりの再会を果たした。きっかけは2年前に私のエッセーがはじめて採用されて、それを読んで電話をかけてくれた。私も当時同じ職場にいたので、共通の思い出がいっぱい、電話では話し切れなくて、もう一人友人を誘って3人で会おうということになった。日時も決めたのにその日1人が体調をくずし、よくなってからということでアッというまに2年が過ぎていた。

駅前で待ちあわせた。昔かなりもてていた彼は、それなりに男前ジイサンになっていた。

シルバーカーを押すバアサンとスッキリしたジイサン2人、昼間でもにぎわう飲み屋街を歩いた。2人のいきつけのお店に落ちついて生中（なまちゅう）で乾杯して、3人の共通の仲間はほとんど故人になっていると聞いた。それぞれの家庭や孫たちのこと、不安な世情、終活、そしてこの場に参加できない、施設に入居している夫の、ちょっとした旧悪などもばらされて、話題のつきない3時間になった。

少し歌っていかないかと、すぐお隣のカラオケルームへ行って、裕次郎、ひばりの歌など大きな声で歌い、酔いを発散した。

再会を約し駅で別れた。

帰途の車窓に桜がハラハラと散っていた。

塩谷一子（90）　大阪府摂津市