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「非対面式」「投資」がキーワード 特殊詐欺は減少気配も、SNSがターゲットに

産経ニュース / 2024年5月3日 8時0分

投資詐欺広告の成りすましについて語る前沢友作氏=4月10日午後、自民党本部(奥原慎平撮影)

全国の特殊詐欺の発生件数が今年に入り、小康状態となっている。1~2月は前年同期比で2割程度減少し、実行役を募る「闇バイト」の規制強化の影響がうかがえるものの、「2カ月間の集計だけで失速とみなすのは早計」(警察庁関係者)との見方が根強い。インターネットや交流サイト(SNS)を通じた詐欺事件そのものは収束する気配がなく、現場の最前線では「非対面式」や「投資」がキーワードとして浮かんでいる。

現金から電子マネーへ

警察庁によると、今年2月末までの2カ月間に全国であった特殊詐欺事件は2259件(うち既遂2208件)で、昨年同期の2816件(同2749件)から557件のマイナス。減少率は19・8%だった。2月に限ると1125件にとどまり、月間としては過去1年間で最少だった。

詐欺事件を巡っては昨年、人工知能(AI)や外国人グループに雇用された日本人の翻訳担当者により、不自然な日本語をなくすなど一層進化したフィッシングメールやフィッシングサイトによるクレジットカード被害や、ネットバンキングサービス被害が過去最多を記録した。

特殊詐欺だけをみても1万9033件で、前年比1463件(8・3%)と3年連続で増加。一方で、闇バイトで募集した受け子を使い捨てるような「対面式」の犯行は、警察当局による未成年者保護と闇バイト規制の強化で鈍化している。被害に遭った金銭も現金から電子マネーに移行するなど、「非対面式」の手口が目立つという。

警察幹部は「ネット社会を反映し、昨年は詐欺事件の潮流がフィッシング詐欺やSNSを通じた投資詐欺に転換した」と指摘。政府が「貯蓄から投資へ」のスローガンを掲げていることもあり、昨年下半期には、株・為替取引のもうけ話や結婚準備を口実にした利殖話で、SNSの相手にだまされる投資詐欺が急増している。

著名人に成りすまし

後者は古典的なロマンス詐欺だが、捜査関係者は「SNSやマッチングアプリといった手軽に知り合う手段が普及したことが、被害増加の誘引となっている」と語る。

さらにSNS上では、著名人に成りすました画像を使った偽の広告による投資詐欺が横行。警察庁によると、こうしたSNS型の投資詐欺の昨年の被害額は約277億9千万円に上り、成りすまし画像に利用された実業家の前沢友作さんや堀江貴文さんが自民党の勉強会で広告の規制強化を要請するなど社会問題となっている。

被害者側にも特徴があり、1~2月の特殊詐欺では女性が全体の63・6%を占め、年代としては70代や80代女性が目立つ。警察関係者は「高齢女性が詐欺のターゲットにされていることは変わらない」としている。

手口別では、金融商品詐欺の発生件数が前年同期比で4・5倍に増えているのが特徴的。被害額も15・2億円に上っており、特殊詐欺全体の被害額(63億円)を押し上げる結果となっていた。

金融商品詐欺は、未公開株や手形、小切手、外貨の購入費名目で代金をだまし取るなどする手口。こうした特殊詐欺を含め、詐欺事件の現場の最前線では「投資」がキーワードであることが鮮明となっている。捜査幹部が言う。

「親の情に訴えるオレオレ詐欺の隆盛に始まった詐欺のムーブメント(流行)は、拝金主義の投資詐欺に主役の座が収斂しつつあるようだ」

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