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日本酒で面白いコト提案 菊水酒造本社に新施設「KIKUSUI蔵GARDEN」 25年春オープンへ

食品新聞 / 2024年5月20日 10時46分

新潟の菊水酒造(新発田市)は、モノとコトを融合させた独自の提案で日本酒を面白くしていく。

25年4月、本社敷地内に新施設「KIKUSUI蔵GARDEN」をオープンし、イベントスペースやカフェなどを併設する計画をこのほど明らかにした。髙澤大介社長は「『北越後テロワール』をテーマにこれまでもコトづくりに取り組んできたが、来春からは自社の施設にお客様を迎え、日本酒と芸術・音楽、文化などとのコラボレーションを三次元的に展開できる」と意気込む。

このほど新施設の上棟式を行い、報道関係者に基本方針や概要を説明した。「KIKUSUI蔵GARDEN」のコンセプトはDiscovery(発見・気づき・驚き、そして感動)。「発酵エンターテインメント」をキーワードに、日本酒のみならず発酵にかかわる食品なども提供し、新発見やコト体験につなげたい考えだ。

施設は四つのエリアで構成。「菊水LAB」はセミナー、ワークショップなどを実施できるスペース。生活者の声を収集したモノとコトを創造する実験所に位置付ける。「菊水CAFE」は、麹や甘酒を利用したスイーツをはじめ地元食材を使い健康に配慮したメニューなどを提供。24席を備え、窓からは著名な田中泰阿弥氏が作庭した枯山水の日本庭園を眺めることができる。

「菊水SHOP」は、発酵を感じられる日本酒や食品、地域の農産物、酒器や小物まで揃える。屋外の「菊水ASOBI―BA」は人々が自由に集える空間。キッチンカー、マルシェ、各種イベントのほか、子どもたちの遊び場になることも想定する。

新施設はすべて木造、古材も活用

なお施設はすべて木造とした。髙澤社長は「鉄筋コンクリート造りに比べて軽く、耐震性も十分ある」と機能性を話すとともに、「伝統文化をつなぐ一環」であることも強調。建物の一部には髙澤家の本家がかつて使用していた醤油蔵の古材を活用しており、「代々の想いを受け継ぎながら新たなチャレンジに取り組む」。

また新事務所棟も来春の完成を目指して建設中。オフィス内はフリーアドレスを採用し、シンプル・高機能・拡張性を重視して多様な働き方が可能となる。なお「KIKUSUI蔵GARDEN」と同様に木造。

市場8割縮小、コトづくりに活路

髙澤大介社長

一方、髙澤社長は日本酒業界の課題についても言及。「現代の日本酒は過去最高においしくなっているが、需要は長期的な減少傾向にある。ピークの1973年から約50年で8割近くも縮小した。要因はメーンユーザーの高齢化とされるが、それ以上に新しいユーザーを開拓できていないことが深刻」とし、「若者の“日本酒離れ”という言葉を聞くが、そもそも飲んだことのない“日本酒未体験層”の増加が実態」と指摘する。

その上で「ライフスタイルが多様化し、モノがあふれている現代では、良い酒(モノ)を造っているだけでは売れない。コトづくりが重要になってくる」。

こうした認識のもと、同社では1990年代後半から独自の視点による施策を推進。「菊水日本酒文化研究所」(04年)、「二王子蔵」(13年)、「製品棟」(15年)、「菊水スペース踊り」(16年)、「菊水ショップ」(19年)、「菊水庭園の一般公開」(同)などを具現化し、情報発信と品質向上に注力してきた。

来春に向け「『KIKUSUI蔵GARDEN』のオープンにより、蔵に来ていただき、体験していただき、新たな発見を提供していきたい」と期待を寄せる。

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