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「一生下っ端でいたい」「私の2年目の給料より新卒のほうが高いというバグ」「後輩とかマジいらない」2年目に仕事を辞めたい人が急増のワケ

集英社オンライン / 2024年4月29日 18時0分

新入社員が入社からすぐにスピード退職することが話題になる一方で、“2年目”に仕事を辞めたくなる人も増えているようだ。仕事への責任が増し、後輩が出現し、給料が思うように上がらないなどが、2年目社員の大きな障壁となっている。

【画像】ビリビリに破り捨てられた退職願

2年目の闇「後輩とかできないでほしい」

毎年4月に話題になる、新入社員のスピード退職。以前は、「最低でも3年は続けるべき」とよく言われていたが、最近では「合わないと思ったらすぐに辞めるべき」という考えも支持され、新入社員のスピード退職をめぐっては賛否が飛び交っている。

一方その裏で、“2年目”に辞めたくなる人もまた増えていることをご存知だろうか。

新入社員が辞めたくなる理由は、急な環境変化や、慣れない仕事など、想像に難くない。一方で2年目に辞めたくなる人は、少し特殊な考えを持っている。彼らは「下っ端がいい」「先輩になりたくない」との思いから、入社2年目に辞めたい衝動に駆られているのだ。

都内の映像制作会社で働く20代の男性は、「2年目以降、日増しに仕事が楽になるどころか、辛くなっている」と明かす。

「右も左もわからない入社したてのころは、覚えることがとにかくたくさんで、毎日大変な日々を過ごしていました。だけど、仕事を続けるにつれて徐々に楽になり、ある程度自分の裁量で仕事を進めることができるようになると、毎日の疲労感がグッと減りましたね。ただ、それは最初の1年だけでした。

入社2年目になって新人が入ってくると、自分がさっそく教育係を任されることになり、また苦労が増え始めたのです。後輩への指導は、自分が仕事を覚えるより難しく、日々の悩みの種となっています。特に、映像制作という仕事上、作品の良し悪しなどはどうしても感覚的に体感で覚えてもらわなきゃいけない部分が多いので、指導のしようがなくて困っています。

また、後輩がミスをすると指導係の自分の責任にもなるので、2年目に入ってから怒られる頻度が倍になった感覚です。人間関係においても、今までは先輩に頼り切り、社内で一番年下のため、常に“後輩ムーブ”で甘えていましたが、後輩ができるとそうも言ってられなくなって…。本当に2年目に入ってから会社に行くのが嫌になりました」

SNS上でもこの3月、4月から、〈責任負いたくないから一生下っ端でいたいな…後輩とか出来ないで欲しい〉〈一生平社員でいたいし後輩でいたい 責任は負いたくない〉〈社会人2年目で既にプレッシャー感じてキツイ。7月から下に後輩つくんだけどまだ全然何も教えられないよどうしよう〉などと嘆く、入社2年目のポストが多数確認できる。

また一方で、転職した人などは〈役職なくなって下っ端になったのでめちゃくちゃ楽になりましたw〉〈転職してひと月くらい経つけど下っ端って気持ちが楽〜!〉などと、責任感から解放された喜びの声をあげている。

何度昇給しても最低賃金ライン…

入社2年目は精神面だけでなく、給与面でもシビアな問題がある。ここ数年は人手不足の影響からか、新卒の給料をアップする会社が増えているが、一方で既存の社員の給料をその分あげるわけでもないため、なんと入社から数年経って少しずつ昇給していった社員より、新卒の給料のほうが高くなるパターンがあるという。

時事通信の調査によると、国内主要企業100社の6割が、今年の春に入社した新入社員の初任給をアップさせている。そうした影響からか、SNS上では〈俺の2年目の給料より今の新卒の方が高い〉〈新卒スタートの月給の方が7年目の私より高いというバグ〉〈前職、10年目の自分よりも3年目のほうが給料高いのを知って途端にやる気失ったのを覚えてる〉といった不満があがっている。

特に入社2年目は住民税が引かれて手取りも下がるため、モチベーションがダダ下がりしてしまうというわけだ。

2年目以降のこうしたジレンマは、パートの現場でも起こっている。東海地方で接客業をする20代前半の女性・Aさんは、勤続5年目で“同じ職場で働き続ける”モチベーションを失い、転職を決意した。

「勤続5年で店を回すような仕事もある程度できるようになったり、人の少ない休日に積極的に出勤したりと努力を続けてきたのですが、最近入ったあまり出勤しない学生バイトの子と時給がほぼ変わらないことがわかり、モチベーションを失ってしまい、退職を決意しました。

もちろん、昇給などは都度していただいてたんですが、県の最低賃金もどんどん上がっていたので、結局、いつまでも最低賃金スレスレで働いているだけだったんです。ここ数年は本当にそれの繰り返しでした。昇給分とはまた別に、最低賃金が上がったときにその分を上げてくれたら、もっとモチベーションは保てたと思います。最後は、『上がっても上がってもずっと最低賃金。どこで働いても一緒じゃん!』と思って、悲しくなって仕事を辞めました」

初任給のアップ、最低賃金のアップは人員を増やすどころか、既存の社員のモチベーションを下げ、逆に離職率を高める結果になっている場合もあるようだ。

Aさんはこの給与面での不満に加えて、立場が上がることで責任が増えることのダブルパンチだったという。

「人に教えること自体は好きなのですが、気の弱い性格でもあり、人を叱ることができず、後輩の気になる点をなかなか直接言えませんでした。入社から2年目以降は、カバーに回ることが多くなったのですが、それでもやはり給料は後輩と同じ…。

また私の性格上、仕事を自分で見つけるのが下手で、上司に『これしといて』って言われたのをやるほうがやりやすかったので、入社したての後輩だったころが一番楽でした。また、社員さんなどがサービス残業や、休日なのに出勤して無賃金で働くみたいな場面も見ていたので、責任のある立場になりたくないなぁという思いが強くなりました」(Aさん)

たくさん人材を獲得しても、流出が増えてしまえば元も子もない。企業と労働者、それぞれの悩みが尽きることはなさそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部

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