〈那須・逮捕された“第6の男”〉センター分けの髪型で普通のサラリーマン風「結婚して子どももいた」「コロナで不動産会社が傾いていた」全身刺青の主犯格との関係は?
集英社オンライン / 2024年5月8日 19時38分
〈〈那須2遺体〉「俺、この会社辞めるんで。やってらんねえ」逮捕されたやり手の“番頭”は4月に退職を示唆。“ママ”幸子さんは交際を反対?「娘と関根はつきあってない」と周囲に…〉から続く
栃木県那須町の河川敷で「サンエイ商事」社長の宝島龍太郎さん(55)と妻の幸子さん(56)の焼損した遺体が見つかった事件で、栃木県警と警視庁の合同捜査本部は7日早朝、東京・上野にある不動産会社代表の前田亮容疑者(36)=千葉県船橋市=を死体損壊容疑で逮捕した。集英社オンラインは、同容疑者とともに不動産会社を立ち上げたという男性を取材。事件の”黒幕”とされる、宝島さん夫妻の長女の内縁の夫である関根誠端容疑者(32)=東京都世田谷区=が、前田容疑者の不動産会社に客として頻繁に訪れていたことが明らかになった。
〈連続写真〉宝島さんと関根容疑者のツーショット、サングラスをかけ“ライバル”店“にのりこむ関根容疑者など
ヤンチャな雰囲気もなかった前田容疑者
死体損壊容疑で新たに逮捕されたのは、東京・上野にある不動産会社代表の前田亮容疑者(36)=千葉県船橋市=。
宝島さん夫婦の遺体が発見される前日の夜に、「サンエイ商事」幹部社員で、今回の事件の「主犯」とみられる関根誠端容疑者(32)=東京都世田谷区=と共謀して、自身の持つ不動産情報で宝島さん夫婦をおびき寄せ、東五反田の空き家に連れ込んだとされる。社会部記者はこう解説する。
「宝島夫妻は物件探しとして、前田が借りたレンタカーに関根とともに4人で乗って東品川の建物に移動。その後、前田の不動産会社が管理する東五反田の空き家に向かい、建物内にて実行役とされる元俳優の若山耀人(20)、姜光紀(20)両容疑者と接触。宝島さん夫婦は暴行されて殺害されたか、抵抗不能の状態になったとみられる。
そのいっぽうで、前田と関根は空き家を訪れたあとに上野周辺にもどり、指示役とされる佐々木光容疑者(28)と3人で会っていたことが防犯カメラの捜査で判明した。報酬の受け渡しがあった可能性も含めて捜査を進めている」
前田容疑者は事件発覚の数日後の任意の調べの際「内覧してもらうために(東五反田の)空き家に行った」と説明しているいっぽうで、「黒い車から出てきた男に襲われたので逃げた。事件のことは知らない」と話している。
また、関根容疑者も事件後に警察に連絡し「事件に関わっていない」と話しており、捜査をかく乱させる動きもあったという。
前田容疑者の不動産会社は、通称「宝島ロード」と呼ばれる、サンエイ系列の飲食店が立ち並ぶ「上野中通り商店街」から徒歩10分ほどの雑居ビルの一室に、2015年5月に開業。ビルの管理人は、前田容疑者の印象についてこう語る。
「前田さんには何度もお会いしたことありますけど、怪しい雰囲気もなかったし、まさか逮捕されるなんて……という感じで。ふだんはサラリーマンが着るようなピシッとしたビジネススーツを身につけていて、髪型もよく見るセンター分けで、ヤンチャな雰囲気とかもなかったです。
ここ(管理人室)の前を通るときも『こんにちは~』と挨拶してくれたし、横柄な態度を取られたこともありません。前田さんの会社には20代くらいの男性従業員が2人いましたが、その人たちもスーツを着ていることがほとんどで、ヤンチャっぽい雰囲気もなかったですね。
でも、およそ1年くらい前から他の従業員は見かけることもなくなったので、前田さん一人で(会社を)まわしていたと思います」
高校時代はサッカー部、約10年前に不動産会社を起業
近隣のテナントに入居する店舗関係者からも「会釈してくれる感じのいい人」と評されていた前田容疑者とはどのような人物なのか。
前田容疑者が代表を務める不動産会社をともに設立したという30代の男性は、集英社オンラインの取材に「単純にどうして逮捕されたのだろうって気持ちが大きくて……」とショックを隠せない。
「亮くんとはタメで、お互いが26か27歳のころに一緒に不動産会社を立ち上げたんですよ。もともと彼と初めて会ったのは20歳くらいのころで、たまたま引っ越しのアルバイトが一緒で仲良くなったんです。たしか彼は中高がサッカー部で大学には行ってませんでした。
同い年だし話が合うんで意気投合して、バイトが終わると一緒に飲みに行ったりパチンコを打ちに行ったりしてましたね。それこそ出会ってから1年も経たないうちに、都内で1LDKのアパートを借りて一緒に住んでましたし。
でも、亮くんはあまり身体が強いタイプではなくて、だんだんと『腰が痛い』とか『体がキツい』とか言い出すようになって……。そこから彼は引っ越しバイトを辞めて、不動産会社で働くようになったのでアパートも解約したんですけど、連絡はずっと取り続けていたし、『いつかは一緒に起業でもしたいね』という話もしていました」
そうして今からおよそ10年前、前田容疑者が当時勤めていた会社の経営が傾いたタイミングで、上野の雑居ビルの一室を借りて不動産会社を立ち上げたという。
「亮くんは知らない人と明るくコミュニケーションを取れるタイプではなかったので、自分が社長という形で、従業員4人で会社はスタートしました。
おもな業務は、不動産の管理と賃貸だったんですけど、大手の不動産仲介サイトに広告を載せるとなると費用もかかるので、基本的にはいろんな不動産のオーナーに直で営業をかけたり、知り合いづてに人脈を広げて、サラリーマンから水商売までいろんな人たちを相手にしていました。
その当時から、細かい書類とか不動産の管理はほとんど亮くんがやってくれて。だから社長は自分でしたが、会社の組織としては彼が中心で本当に頼りにしてました。少なくとも自分は、一度も亮くんとケンカしたこともなかったので……」
関根容疑者と“友達”って雰囲気でした
地道な営業の甲斐もあってか、開業からおよそ1年半で売上も伸びてきて経営が安定してくるようになったという。
前田容疑者自身も結婚し、子宝にも恵まれてまさに”順風満帆”の生活を送っていたが、そんななかでオフィスに客として来るようになったのが、のちに事件の「主犯」として逮捕されることになる関根容疑者だったという。
「関根さんは当時からあんな感じの身なりで、いろんなところに刺青も入っていたので『ちょっとヤンチャな人なのかな?』と思いましたけど、そもそもあの不動産会社にはいろんな職業のお客さんが来るので別に驚いたりはしませんでしたね。
2人がどこで出会ったとか、関根さんがどんな仕事をしてるかは知りませんでしたが、お互いタメ語で話していて、たしか関根さんも『亮くん』と呼んでいたので、端から見たらただの友達って雰囲気でした。
それから4、5回ほど、関根さんが来るときにオフィスで居合わせたことがありますけど、どうでもいい笑い話をしてくれたりして『ヤンチャそうだけど、気のいい兄ちゃんだな』ってイメージしかなかったです」
そんな不動産会社に”暗雲”が立ち込めたのが、2020年のことだったという。
「コロナが蔓延しだしてから、外国人観光客とかがよく泊まる民泊関連の業務が大打撃を受けたことで会社の売上もガクッと下がってしまって……。それがキツくて自分は会社を出たんですけど、それから亮くんと連絡を取ることもなくなりましたね。
当時は(事件があった)東五反田の空き家も管理してたわけじゃないので、自分が抜けた後に取り扱いを始めたのでしょう。事件のことを知った今でも、亮くんはそんなことをする人ではないと思ってますし、『どうしてこんなことをやったんだろう?』とか『誰かにハメられたのかな』とかいろいろと考えてしまいますね……」
物静かで周囲からの信頼も厚かった不動産マンの身に、いったい何があったのか。真相解明が待たれる。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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