高校2冠の逸材が歩み始めた復活ロード 1年間の不振乗り越え、タネル舞璃乃が貫く“自分の道”
THE ANSWER / 2024年5月18日 10時33分
■陸上・関東インカレで輝いた選手たち 女子1部・400メートル障害/東学大・タネル舞璃乃(3年)
9日から4日間、行われた陸上の第103回関東学生競技対校選手権(関東インカレ)。2年ぶりに国立競技場で開催された熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子1部・400メートル障害に出場した東学大・タネル舞璃乃(3年)。1年ぶりの決勝、59秒59で6位入賞した。全国高校総体(インターハイ)では400メートルとともに2冠を達成。昨季は不調を経験した20歳が、復活のシーズンを歩み始めた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)
◇ ◇ ◇
表彰台を目指した決勝。選手紹介の歓声に笑顔で応えたタネルは、号砲とともに勢い良く飛び出した。
バックストレートでは上位争いを演じたが、終盤失速して59秒59で6位。「7、8台目で崩れてしまって……。タイムも満足していないです」と悔しさを滲ませた。それでも、1年ぶりの決勝レースを「純粋に楽しかった」と振り返った。
埼玉栄(埼玉)3年夏のインターハイで400メートルとともに2冠を達成。400メートル障害は57秒98の好タイムを叩き出し、大学でも活躍が期待された。
1年春の関東インカレ400メートル障害で4位に入り、順調なスタートを切ったが、昨年は怪我や体調不良などの影響で十分な練習が積めず、不調が続いた。それでも「高3の結果はあまり気にせず、大学ではリスタートと思ってやっていた」と真摯に競技と向き合った。
「自分で考えて強くなろう」。埼玉栄の教えを胸に、自分なりに練習メニューを工夫。食生活にも気を遣い、練習後の疲労回復に繋げた。
「とにかく強くなりたい」という一心で1年間の不振を乗り越えた【写真:中戸川知世】
「とにかく強くなりたい一心で練習していた」という1年を越え、「調子がやっと上がってきた」と手応えを感じる今季。その言葉の通り、5月初旬に行われた静岡国際では高3以来の58秒台を記録し、復調を印象づけた。
「これまではハードルを越えることに怖さがあって、力を使い切れていなかった。その怖さがなくなってきたのが大きい」
今大会は悔しさを残したが、復活ロードは道半ば。「まだ始まったばかり。ここから上げていきたい」と前を向く。ひたむきな20歳は焦らず進んでいく。(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)
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