【佐藤優コラム】ナワリヌイ氏の死亡情報めぐり内調が証明 日本政府の高い諜報能力
東スポWEB / 2024年5月2日 16時12分
衆議院補欠選挙では3連敗で、内政的には厳しい状況が続く岸田政権であるが、首相官邸のインテリジェンス能力が高いことが明らかになった。先月末にCIAが興味深い情報をリークした。
<ロシアで2月、収監中に死去した反政権派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏について、米紙ウォールストリート・ジャーナルは27日、プーチン大統領による直接の殺害命令はなかった可能性が高いと、米情報機関が判断したと報じた。機密情報や3月にあったロシア大統領選への影響などをもとに分析したものだという。/同紙によると、この分析はナワリヌイ氏の死去についてのプーチン氏の責任に疑問を投げかけるものではないという。ただ、時期はプーチン氏が意図したものではなかったとみているという。/この内容は米中央情報局(CIA)や米国務省などのほか、複数の欧州の情報当局と共有されているが、欧州側ではこうした分析に懐疑的な見方もあるという>(4月28日「朝日新聞デジタル」)
首相官邸は当初から、プーチン大統領によるナワリヌイ氏への殺害命令はなかったという評価をしていた。内閣情報調査室(内調)がモスクワのプーチン政権中枢から得たヒュミント(人的情報)、公開情報などを迅速に整理、精査し、分析調書を作成したのだ。
対外的には2月19日の記者会見で林芳正内閣官房長官が重要だ。
<バイデン米大統領が「間違いなく死の責任はプーチン(大統領)にある」と述べるなど、米欧諸国はプーチン政権の関与に疑惑の目を向けている。一方、林氏は会見で日本政府として死亡の責任はどこにあると考えるかを問われたが、「確定的な情報を有しておらず、コメントは差し控える」と述べるにとどめた>(2月19日「朝日新聞デジタル)。
日本は米国の同盟国だ。米国の主張に正面から反対することは同盟国間の紳士協定に反する。日本のメディアはナワリヌイ氏の事案について、自分の頭で考えず、英米のメディアを主要な情報源として、プーチン氏がナワリヌイ氏の殺害に関与したとのトーンで報道している。
この状況で、確定的な情報がないのでコメントできないというごく当然の対応をとるには相当の勇気がいる。内調の分析と評価を国家安全保障局が正しいと考え、この認識に基づいて林官房長官が発言した。この対応は日本政府、特に内閣情報調査室と国家安全保障局のプロフェッショナリズムのレベルが高いことを証明するものだ。
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