三菱「GTO」謎多きスーパースポーツ誕生の必然 もう生まれないバブルに咲いた真っ赤な大輪
東洋経済オンライン / 2024年3月30日 12時30分
実のところ、GTOのメカニズムは「ギャランVR-4」と多くを共有していたのだ。
ギャランVR-4は、GTOのほんのわずか前になる1987年に誕生した高性能セダンで、WRC(世界ラリー選手権)参戦を目指して開発されていた。
FFベースではあるけれど、「4」の文字があるように4WDである。当時は、FFベースの4WDが技術的な最先端でもあったのだ。
実際にWRCでは、 2024年3月18日にご逝去された三菱自動車の社員ドライバーである故・篠塚建次郎選手らがドライブして優勝を獲得する活躍を見せているし、トヨタ「セリカGT-FOUR」のように同様のレイアウトを持つライバルも存在した。
もちろん、三菱自動車にFRができなかったわけではない。GTOの先代にあたるスタリオンは、FRだった。
けれど、設計の古いスタリオンを下敷きに新型スーパースポーツを開発するのは、当時の「何でも新しく」「より高性能なもの」が求められていた時流にはそぐわない。
もしも、FRのスタリオンをベースにGTOが生まれていれば、もっと軽量で本格的なスポーツカーになっていたかもしれない。しかし、「古臭い」とユーザーにそっぽを向かれていたのではないだろうか。そういう意味で、FFベースの4WDになったのは、致し方ない部分もあったろう。
また、1980年代後半から1990年代にかけては、三菱自動車の本格4WDである「パジェロ」が人気を集めた時期だ。パリ・ダカールラリーでの活躍などもあり、パジェロはRV(レクリエーショナル・ビークル)ブームを牽引する存在になった。
このパジェロは当然のように4WDであり、そうとなれば三菱自動車のスーパースポーツが「4WDであるべし」と考えるのも理解できる。パジェロの存在も、GTOに4WDを採用した大きな理由となったに違いない。
不思議なクルマも当時の必然
つまり、GTOという名称は、1970年代の遺産の継承であり、派手なバタ臭いデザインはアメリカ市場を意識したのが理由。そして、当時の三菱自動車の最新技術を使ったため、FFベースの4WDになったのだ。今から思えば、不思議に思う内容であっても、当時の三菱自動車としては必然の産物といえる。
現在の三菱自動車から、GTOのようなスーパースポーツが生まれる可能性は、ほとんどないだろう。仮にスポーティなクルマが出たとしても、既存車種のラリーアート仕様などとなるだろうし、ASEANで成功している三菱自動車だけに、北米市場をターゲットにしたものにはならないはずだ。
そういう意味で、1990年代のGTOは三菱自動車の歴史に大きなインパクトを残す貴重な存在となった。まさに、「バブルに咲いた真っ赤な大輪」なのだ。
鈴木 ケンイチ:モータージャーナリスト
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