「健康のため」にサプリを飲む人が知らない"真実" 自己判断で飲むことで重い病気を見逃す危険も
東洋経済オンライン / 2024年4月4日 11時40分
連日報道されている小林製薬の健康食品による「紅麹問題」で、「サプリメントは安全で気軽に摂取できるもの」という神話は崩壊しました。まだ原因とされる物質や健康被害との因果関係は明らかになっていませんが、本件に関係して亡くなられた方や健康被害に遭われた方が多数、報告されています。
この問題を教訓に、今回はサプリについて解説したいと思います。
そもそもサプリメントって何?
健康食品やサプリメントは国が定めたものではなく、一般的に使われる言葉です。具体的には、「健康によいとされる成分を添加している加工品」を健康食品、そのうち「カプセルや錠剤・顆粒のような形状をしているもの」をサプリメントといいます。
supply=補う、という意味から、サプリメントは「不足を補うもの」という意味で使われ、一定の基準を満たした「成分」を、摂取できるように工夫されています。食品ですから「医薬品」のように病気を治すことを目的とするものではありません。
参考までに、医薬品とは別に「血圧が高めの方に」「ピント調整機能を改善」「糖の吸収抑制」といった機能性の表示が認められているのは、「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3種だけです。
高濃度の成分を摂ることの問題
そもそも、サプリメントのような成分を濃縮してぎゅっと詰め込んだものを毎日摂るのは、栄養バランスを考えても大きな偏りを生むと考えます。食材では、同一の成分を大量に摂ることはできませんが、濃縮した錠剤なら、難なく摂れてしまいます。
「レモン100個分のビタミン」などとうたっているものがありますが、よく考えれば一度にレモン100個も食べるということが、体にとって良いことであろうはずがありません。ビタミンCの場合は水溶性であるため、不要な分は尿として排出されますが、成分によっては体に蓄積していくものもあります。
口から入り、胃腸で吸収されたものは、すべて肝臓に運ばれて代謝や解毒され、腎臓で濾過されて体外に出ていきます。肝臓や腎臓の負担を増やせば、体の負担になるだけです。
もう1つ、サプリメントや健康食品で筆者が問題と考えるのは、「自己判断で購入する」という点です。体に合わないことで体調を崩す可能性が大きいだけでなく、重大な疾患を見落として治療の機会を逃す可能性もあるのです。
例えば、貧血だと思って鉄のサプリメントを購入したとします。しかし貧血の原因はもしかして「がんなどの重大疾患による消化管からの出血」の可能性もあるわけです。
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