フォーミュラE「裏側から観た」東京大会の意気 チームはこの「東京E-Prix」をどう見たか?
東洋経済オンライン / 2024年4月5日 12時0分
日本で初めて「フォーミュラE」が開催された。“電気のF1”とも呼ばれるレースで、2015年シーズンに始まり、今季で10季目。世界中を転戦するまでに成長したシリーズだ。
東京のレース「東京E-Prix」が開催されたのは、2024年3月30日。場所は有明だった。
このレースのおもしろさは、公道も使う都市型であること。レース自体は1時間とかからず、わりと気軽に観戦できる(チケット入手は困難だったようだけれど)。
バッテリー駆動のシングルシーターマシンを使い、レギュレーションも厳格。BEVの特徴を生かしたレースに、「こんなに興奮するとは思わなかった」と初めて観た人たちは口を揃えるように言う。
コースは、ジャパンモビリティショーの会場にもなった東京ビッグサイト周辺を使い、1周2.582km。そこを33周して競う。コーナー数は18におよび、「多いなぁ」とつぶやくチームもあった。
事前のシミュレーション「できる」と「できない」
本戦は土曜日で、気温は25℃という春らしからぬ高さ。前日の午前中は雨。しかも強い風にあおられて、傘が役に立たないほどだった。
「コースのアップ・アンド・ダウンなどは、LiDAR(ライダー=光による検知と測距)によるデータが各チームに配られ、それをもとにシミュレーションを行いますが、路面の摩擦係数などは、実地で測定してみないとわからない。雨だとそれができないのがつらいですね」
ジャガーTCSレーシングの広報担当者は、そう話してくれた。
フォーミュラEの開催意義については、いろいろな理由が挙げられているが、モータースポーツファンの立場からいうと、“見応えあるレース”である。最高出力は決められているし、車体もフロントサスペンションも11チームみな共用で、タイヤも同じ(しかも基本的に交換なし)だ。
以前は「ファンブースト」といって、観戦者が自宅のコンピューターで専用画面の「オーバーテイクボタン」を押すと、押された回数の多い上位5名のドライバーが“5秒だけオマケのパワーをもらえる”といった仕掛けがあった。しかし、2023年にはそれも廃止され、いまやキワモノ的な部分はない。
東京でのレースにはもうひとつ、興味をひかれることがあった。第3戦のディルイーヤ(サウジアラビア)で1位だったジャガーTCSレーシングをはじめ、それまでの4戦を通じて2回優勝したチームがない(ポイント獲得ランキングではジャガーが1位)という状況だったのだ。
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