韓国総選挙・与党大敗なら日韓関係にも悪影響 失政はないが人気もない尹錫悦大統領の存在
東洋経済オンライン / 2024年4月9日 12時0分
しかし、保守派は進歩(革新)派のやることを小バカにするという悪い癖が出て、今の尹政権は時計の針を李明博政権の頃にまで巻き戻したかのように、再び国民との意思疎通を軽視しているのだという。
文政権の5年間で「ソフトで国民の話に耳を傾ける大統領」がスタンダードになったことを、尹大統領とその周囲にいる人たちは理解していないようだ。
このように尹大統領から民心が離れているのは、日韓関係にとっては地雷のようなものだ。こちらの写真は、曺国氏の支持者がリュックにつけていたメッセージ。
4月10日の投票を呼びかけたうえで、「今回の総選挙は本当の韓日戦」「親日売国政権を『大破』しよう」と書かれている。「大破」は、文字ではなく、例の長ネギだ。
なかなか激しい言葉に私も身構えてしまったが、尹大統領の英断といえる徴用工訴訟問題の解決策についても多くの国民にその意義が伝わっていないことを端的に示す。
対日・対北朝鮮政策でも反感募る
もう1つ、韓国メディアで大きなイシューにはなっていないものの、今回の総選挙で注目に値するのは、「共に民主党」の李在明代表が北朝鮮と「近すぎる」人物たちに当選への道を用意したことだ。
具体的には、比例代表用のミニ政党である「共に民主連合」に、左派少数政党である「進歩党」や「新進歩連合」などを合流させ、それぞれ3人ずつ、当選圏内である比例名簿上位に載せたのだ。
とりわけ「進歩党」は北朝鮮からの指令を受けて韓国のインフラ施設を破壊する計画を練っていたとして憲法裁判所から解散を命じられたかつての極左政党「統合進歩党」の流れを汲む。
与党「国民の力」はこうした動きに「従北(親北朝鮮)勢力が国防省の重要な資料に接して、北朝鮮に流す恐れがある」と声高に警戒する。北のスパイではないかというわけだ。これに対して「共に民主党」側は「時代錯誤のレッテル貼り」と反論する。
スパイ云々はさておき、「進歩党」や「新進歩連合」から当選しそうな候補たちの過去の発言をチェックすると、「北朝鮮の核・ミサイル開発が加速するのは尹政権の強硬姿勢のせいだ」などと主張をして北朝鮮を擁護する色合いが濃いのは確かだ。
総選挙を経て、韓国国会、ひいては社会全体で北朝鮮をめぐる理念対立がさらに激しくなりそうな雲行きだ。
池畑 修平:ジャーナリスト、一般財団法人アジア・ユーラシア総合研究所理事
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
中国人専門家がソウルに「来て・見て・感じた」韓国政治の迷走
Record China / 2024年5月13日 9時0分
-
総選挙大勝、それでも韓国進歩派に走る深い断層線
ニューズウィーク日本版 / 2024年5月8日 19時24分
-
与野党ダメダメで韓国政治が混迷していく理由 尹錫悦大統領も最大野党も抱えるさまざまなリスク
東洋経済オンライン / 2024年5月1日 8時0分
-
タマネギと長ネギに負けた尹政権 【平井久志✕リアルワールド】
OVO [オーヴォ] / 2024年4月28日 8時0分
-
安倍元首相の不毛な宣言が日韓関係の改善を縛る 元徴用工問題、日本も人道的に歩み寄るべきだ
東洋経済オンライン / 2024年4月20日 9時30分
ランキング
-
1「殺害も頼まれた」 那須2遺体 「指示役」を殺人容疑で再逮捕へ
毎日新聞 / 2024年5月18日 23時0分
-
2大阪・枚方市のマンションで19歳の女子大学生が刺され死亡、26歳無職男を殺人容疑で緊急逮捕
読売新聞 / 2024年5月18日 23時13分
-
3能登観光復興へ「輪広げる」 石川・七尾の道の駅が再開
共同通信 / 2024年5月18日 21時40分
-
4「戦争ではなく虐殺」 ナクバの日に合わせ、大阪でガザ侵攻抗議デモ
毎日新聞 / 2024年5月18日 21時23分
-
5岸田政権、台湾と協調維持 中国刺激回避も意識
共同通信 / 2024年5月18日 21時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください