赤福が手がける「洋菓子」はなぜ生まれたのか 餡をこねていた職人が突然ケーキを焼くことに
東洋経済オンライン / 2024年4月13日 11時30分
やわらかいお餅の上になめらかなこし餡をのせた伊勢の名物「赤福餅」。伊勢神宮内宮のおはらい町にある赤福本店はいつも「赤福餅」や「白餅黒餅」を求める大勢の客で賑わっている。その並びに赤福が手がける「五十鈴茶屋」があるのをご存じだろうか。
店内の奥には喫茶スペースがあり、ここでも庭園や五十鈴川を眺めながら赤福と抹茶のセットが楽しめる。店内には立春や春分、夏至など二十四節気ごとに発売される節気菓子や旬のフルーツが丸ごと入った季節限定菓子などが並び、目を楽しませてくれる。
「あずきバターサンド」のおいしさに驚愕!
興味を引いたのは、シュークリームやロールケーキ、プリンなど洋菓子の数々。和というイメージが強い赤福が洋菓子も作っていたことを恥ずかしながら初めて知った。赤福のオンラインショップでは、五十鈴茶屋の商品も扱っていて、その中でも小豆がたっぷりと入ったバタークリームをクッキーでサンドした「あずきバターサンド」という商品に思わず目が釘付けになった。
早速取り寄せて食べてみると、バタークリームが口の中で溶けていくとともに、ラム酒の香りがふわっと広がる。小豆のつぶ感も心地よいアクセントになっている。バタークリームの味を邪魔せず、むしろ引き立てている生地のやさしい味わいも実に計算されていると思った。
筆者が暮らす名古屋はあんこや小豆が大好きな土地柄。名物の「小倉トースト」をイメージしたお菓子が駅や高速道路のSAでお土産物として売られていて、どれがおいしいのか食べ比べをしたことがある。しかし、満足するものはほとんどなく、ガッカリしたことを覚えている。そもそも比較すること自体が間違っているかもしれないが、筆者の中では「あずきバターサンド」が小豆系のお菓子の中でぶっちぎりの1位をマークした。
あまりのおいしさに「あずきバターサンド」が赤福の手がける「五十鈴茶屋」で売られていることを忘れかけていた。洋菓子はいつ頃から、何をきっかけに作り始めたのだろうか。そして、「あずきバターサンド」はどのようにして誕生したのだろうか。どうしても話を聞いてみたくなり、赤福の明野工場を訪ねた。
洋菓子のラインナップ増はコロナ禍から
「2006年に『五十鈴茶屋』の五十鈴川店がオープンして、当時は駐車場が無料だったこともあって、地元のお客様がよく買いに来られていました。それで新たに日持ちのする洋菓子の種類をもっと増やそうということになり、洋菓子職人の方から技術指導を受けながら商品開発も同時に進めていました」と話すのは、赤福の五十鈴茶屋本部商品開発課の川瀬勝利さんである。
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