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小池都知事の学歴詐称問題の裏にある国際問題 第4次中東戦争とオイルショックの時代

東洋経済オンライン / 2024年4月18日 8時0分

石油不足を懸念した政府は、アラブの友人を頼って奔走した。ナイジェリアやアルジェリア、イランなどと交渉したのはそのときである。田中角栄が送った三木武夫を団長とする代表団はカイロに向かう。エジプトとの関係改善のためだ。

関西経済同友会の幹事だった小池勇二郎氏のところには当然話があったはずである。日本の中枢部と関係を持つ彼は、エジプトにも多くの知人がいたからである。その知人の一人がハテムであった。

小池百合子氏がエジプトで大学に入学したのは、まさに日本政府が派遣団を送った時期である。やがてエジプト政府は日本を敵国からはずし、日本はアメリカが提案する決議に反対することになる。

その決議は、中東諸国が提起したイスラエルの1967年の占領地域からの即時撤退という提案である。日本はなんとこれを暗に支持したのである。これはアメリカをいたく怒らせた。

やがてアメリカの国務長官だったキッシンジャーがやってきて、日本政府に苦言を呈するが、それがやがてアメリカの報復、すなわちロッキード事件となるというのはかなり知られた話である。

田中角栄の背後にいたのが、岸信介、小佐野賢治、児玉誉士夫、中曽根康弘といわれており、当然ながらハテムとサダトは、日本に対して恩を売り、日本も中東諸国の恩を返したということになる。

サダトは1981年10月の閲兵式で暗殺される。それによって政権は崩壊するが、黒木亮氏によるとサダト政権は腐敗にまみれていたという。とりわけ国内の経済悪化の改善のための日本政府からの援助を望んだのである。

こうした関係の中で、小池百合子氏の卒業は在学と無関係に認定されていったのかもしれない。サダトのナンバー2であったハテムにそれが不可能なはずはなく、政治的配慮の中でことは進んでいったのかもしれない。あくまで想像である。

カイロ大学はなぜ無言なのか

もしこれが事実だとすれば、現在のエジプト政府が日本政府に対して話を蒸し返し、卒業はなかったといえるかどうか、国立大学であるカイロ大学が学問の自由のために本当のことを言う勇気があるかどうかである。

日本人にとっても話は複雑だ。小池氏の卒業だけに問題が絞られているが、当時の政治的流れの中でそうなったのだとすれば、日本政府の問題とも絡んでくる。とりわけそれは、アメリカからの石油資源の独立の問題であり、アメリカからの政治的自由の問題である。

右翼といわれている面々が、日本を守るためにそれを行ったのだとすれば、そこにメスを入れる勇気があるかどうかということだ。もしそうだとすれば、小池氏がこれを暴露することは当然できないだろうし、日本政府もアメリカとの関係にまで発展させたくないであろう。

だからこそマスコミは、小池氏の卒業詐称という個人的な問題に終始し、その当時の日本とエジプトとの関係、そして小池氏の父親にさかのぼる、日本のドンとの関係に触れたくないのである。

もちろん、この学歴詐称問題が小池氏による自作自演の詐称行為ならば、この話と関係ないことになろう。その場合、この「わらしべ王女」の野心が打ち砕かれるだけのことである。

本当にそれだけなのだろうか。話題のもう1つの中心であるカイロ大学が、正式な発表をしないのはなぜなのか。私にはそれが気になる。

的場 昭弘:神奈川大学 名誉教授

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