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安倍元首相の不毛な宣言が日韓関係の改善を縛る 元徴用工問題、日本も人道的に歩み寄るべきだ

東洋経済オンライン / 2024年4月20日 9時30分

韓国総選挙のとき、岸田首相が訪米中であったのは、たまたまであったとはいえ、日本外交のアンバランスを象徴しているように思える。

岸田首相はアメリカ連邦議会におけるスピーチで「日本の国会では、これほど素敵な拍手を受けることはまずありません」と自民党の裏金問題を棚に上げてのジョークを交えて英語で語った。それは、発音練習をはじめ、いかに岸田政権が訪米に向けて入念な準備を重ねたかを端的に示していた。

日本の安全保障政策を考えれば、岸田首相がバイデン政権や議会と良好な関係を構築することが重要であるのは論をまたない。そのためには、ジョーク交じりのスピーチだけではなく、アメリカの防衛装備品を購入したり自衛隊と在日アメリカ軍の連携強化を表明したりするといった実質的な貢献策を打ち出すことも、必要なのかもしれない。

だが、やはり偏りすぎている。もとから関係が良好なアメリカの歓心を改めて買うのは、それほど難しくないのだ。そうした「難しくない外交」にばかり注力して韓国や中国、さらには北朝鮮との「難しい外交」に関して、第2次安倍政権以降の自民党政権は果たしてどれほどの成果を挙げたのであろうか。

アメリカから戻った岸田首相は2024年4月17日、尹大統領と電話で会談した。外務省によれば、時間は約15分間。発表された内容をみても、「岸田首相からアメリカ訪問の結果について説明し、尹大統領は情報共有に感謝し、両首脳は引き続き日韓・日韓米の連携を深化させていくことで一致した」という。時間も内容も、通り一遍だ。

このように日本外交がアメリカとの同盟強化に「全振り」する様相を呈しているのに、一方では韓国総選挙で与党が敗北したことで「日韓関係は再び『ちゃぶ台返し』で悪くなるのだろうか」といった懸念の声が日本側で出ている。

近年の日韓関係を振り返れば心配になるのも無理からぬことではあるが、そこでは「日本として韓国との関係を安定させるために十分な外交や協力をしたのか」という問いが抜け落ちているように思える。

韓国との関係を安定させる外交はやったか

喫緊の課題は、徴用工訴訟で日本企業に代わって原告たちに賠償額を支払う韓国政府傘下の財団が、そう遠くないうちに資金不足に陥る公算が高まっていることだ。財団には、これまで韓国の鉄鋼最大手ポスコくらいしか資金を拠出していない(日本円で約4億5000万円)。

しかし各地の裁判所で「日本企業に賠償責任あり」という判決は出続けていて、追加の資金拠出がないと「第三者弁済」は行き詰まる。

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