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「金利のある世界」が到来したら起こる生活の変化 日銀正常化によって、日本はどう変わっていくのか

東洋経済オンライン / 2024年4月22日 10時0分

ドル円相場などの為替市場は、両国の金利差によって大きく左右される。金利差が拡大すれば、円は売られてドルが買われる。機関投資家などは金利の低い円で資金を調達し、円を売って金利の高い米ドルで運用してサヤをとる「キャリートレード」が活発となり、さらに円安が進む。

アメリカのインフレ懸念が消えて、利下げがいつ始まるのかは不透明だが、金利差が縮小しない限りは、円安が進行することを意味している。イランによるイスラエル直接攻撃といった地政学リスクが高まる中で、世界的なインフレ再燃の可能性はまだ沈静化しそうにない。

言い換えれば、今後も円は売られ続けることになり、日銀は金利差縮小のために、金利の引き上げを迫られることになる。日銀が金利を引き上げられるのはせいぜい0.6%程度まで。当面、日銀は円安の圧力にさらされ続けることになるわけだ。投資家もそれを見越して、円安を仕掛けてくることになる。実際に、アメリカの商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、ヘッジファンドなどの投機筋による円の「売り越し」が2007年以来17年ぶりの最大規模になっているそうだ。

さらに、日銀にとって厳しいのは、日本政府の財政を支え続ける必要があることだ。植田総裁は、マイナス金利解除の記者会見でも、当面は政府が発行する日本国債を購入し続けると表明。中央銀行のバランスシート(総資産)は小さければ小さいほど健全と言われているが、国際的に見ても、日銀のバランスシートは極めて大きい。

たとえば、バランスシートの対名目GDP比を見ると、FRBの「27%」に対して、日銀は「127%」になる。FRBは、かつてはGDP比で6%程度だったのが、リーマンショックやコロナ禍によって3割近くにまで拡大してしまった。対して、日銀もバブルが崩壊した1998年度末には15%程度だったのが、2022年度末には9倍の131%に拡大している。

要するに、桁違いにその規模が大きく、簡単に債務超過になってしまうことがわかる。植田総裁は「いずれは国債の購入を減らしていきたい」と述べているものの、その道は遠く、険しそうだ。月額6兆円の国債購入を日銀がやめてしまえば、政府はさらに金利の高い国債の発行を迫られ財政危機を引き起こす。いつまで国債を購入し続けなければならないのか、見当もつかないのだ。

ちなみに、日銀は現在時価にしてざっと「70兆円」のETF(上場型投資信託)を保有していることはよく知られているが、その含み益は「32兆円」(簿価37.2兆円)にも達する。ETFの配当は年間で「1兆円」を超えるとも言われており、子育て支援の財源に、この配当を使ってはどうかと国会で野党からも提案されている。

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