1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

中途採用にはびこる「お粗末な」経歴詐称の実態 立派な実績なのに「仕事がイマイチ」でバレた嘘

東洋経済オンライン / 2024年4月24日 7時0分

その男性は、大手メーカーの商品企画部に在籍し、数々のヒット商品を連発。自らを、ヒット商品を開発した一大プロジェクトのリーダーであり、会社に多大な利益をもたらした功労者だと語っていた。

ただ、こちらからの質問の隙を与えないほどの饒舌な話しぶりが、かえって不自然に感じた。相手の息つぎのタイミングでようやく食い込んだ質問に対しても、浅い答えしか返ってこず、「これは嘘だな」とピンと来た。

私は彼の話を笑顔で聴きつつも、こっそり画面の下で、部下にチャットを送った。

「この応募者の名前をネットでサーチしてくれないか?」と。

すると、すぐさま「検索しても何も出てきません!」との返事があり、やはり睨んだ通りだと思った。ヒット商品の生みの親とも言える人物が、検索して何も出てこないはずがない。

おそらく商品企画部に在籍はしていたのだろうが、プロジェクトに何らかの形で関わったメンバーの一人にすぎないのだろう。

面接でアピールするのは、私はいいことだと思うが、嘘を盛り込んでまで実態より大きく語ってもらっては困る。無論、彼の選考はここでストップ。面接時間を予定よりも30分早くクローズした。

コロナ以降、オンライン面接が中心となり、こうして面談中にリアルタイムで本人情報を調べられるようになった。毎回ではない。怪しい人物だと感じたときだけ実行している。

経歴詐称を防ぐリファレンスチェック

こうした経歴詐称や実績詐称を防ぐためにも、「リファレンスチェック」は有効だ。

リファレンスチェックとは、直訳すると「身元照会」になる。応募者の職務経歴や実績に虚偽がないかどうか、本人の同意を得た上で前職の上司や同僚、部下などに確認できる仕組みだ。

Aさんの経歴詐称問題から警戒心が一層増した私は、とくに管理職の採用時において、「リファレンスチェック」を導入するようになった。

部長クラス以上なら、なおさら必須だ。経営はもちろん、社内の士気を左右するほどの重要ポジションだけに失敗は許されない。

基本的には、リファレンスチェックを行う専門の代行会社に外注し、選考の最終段階で行っている。

これはあくまで私自身の方針だが、できれば「現職の上司・先輩(同僚)・部下」のうち一人でもいいので、現職の関係者にヒアリングできたらベストだと考えている。

現職の場合、「転職が会社にバレてしまうので避けたい」と言う人が多いが、さすがに上司や部下は無理だとしても、誰か信頼できる同僚・先輩にどうにか頼み込んで、応じていただきたい。

現職の会社を最近退職したという元上司や部下でもいい。やはり直近の情報に勝るものはない。その応募者の現在の実力や職場での働きぶりがよくわかる。

オンライン面接が主流となった今、画面だけでは見えない応募者の人となりを把握するためにも、リファレンスチェックを導入する企業は増えている。

実際、リファレンスチェックはどのように行われ、そこから応募者の何が読み取れるのか。中途採用の舞台裏について、次回以降、さらに深掘りしたいと思う。

萬屋 たくみ:会社員(人事部長)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください