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34年ぶりの円安をなんとか止める方法はないのか 「もしトラでドル安円高」では気分も晴れない

東洋経済オンライン / 2024年4月27日 8時30分

とはいうものの、日本では2009年度の税制改正において、「海外子会社からの配当の益金不算入制度」が実現している。すなわち外国子会社から受ける配当は、95%相当額を非課税所得とすることが認められている。これは本来、二重課税を回避するための方策であったが、ちょうどリーマンショックで企業が大打撃を受けていた時期に、この制度のお陰で国内に還流する配当金が安定的に推移したという経緯がある。

ともあれ、レパトリ減税を導入するにしても、「残り5%」の配当送金を時限立法で優遇する程度では、効果は限定的ではないか?との指摘は重く響くところである。

もうひとつ、この問題を語るときに忘れてはならないのは税の論理である。「企業は海外投資で大いに儲けている。しかもその利益は足元の円安でさらに水膨れしている。そんな金(カネ)を本国に戻す際に税制で優遇するのは不公平である」……いかにも財務官僚が言いそうなことじゃないですか。

ただしよくよく考えてみれば、このレパトリ減税の議論はたぶんに枝葉末節ということになる。重要なのは、日本企業が海外で儲けたお金が国内に還元されていないという点にある。だからこそ国内景気は良くならないし、家計部門も豊かにならない。そして円安も止まらないという構図がある。

円安が止まらない根本原因はどこにあるのか

だったらその根本原因はどこにあるのか。多くの日本企業は、長引く円高に悲鳴をあげて海外に進出した。製造拠点の再配置が進み、貿易黒字は減少した。国際収支統計を見ると、日本の貿易収支は既に「原油が高い年は大幅赤字」(2022年は▲18.3兆円)で、「原油が安い年は若干の黒字」(2023年は+3.9兆円)くらいの間を行き来するようになっている。逆に第1次所得収支は、コンスタントに30兆円以上の黒字を計上している。この間の事情を称して、日本経済は「貿易立国から投資立国になった」とも呼ぶ。

これらをトータルした経常収支は、相変わらず20兆円台の黒字となっている。だったら円高になってもおかしくなさそうなものだが、黒字がイコールお金の移動ではない点に注意が必要だ。貿易黒字が減った分は確実に実需のドル売りが減ったけれども、第1所得収支の黒字の大部分は円転されることなく海外に蓄えられたままなのだ。

最近では、サービス収支の悪化という新しい問題も生じている。インバウンドがもたらす旅行収支は黒字基調となっているが、GAFAMなどのクラウド事業に支払うデジタル赤字や、日本企業が海外の有名コンサル企業や研究開発拠点に支払うサービス料が馬鹿にならない。ストックベースならともかく、キャッシュフローで見ると確実に出ていくお金のほうが多いのだ。しかるがゆえの円安進行なのである。

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