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新規事業に必要な「本業への貢献」ストーリー 顧客を引き付ける「フック」、収益を得る「回収エンジン」

東洋経済オンライン / 2024年4月29日 19時0分

(写真:EKAI/PIXTA)

新規事業には、既存市場に新規製品/サービスをリリースする場合と、新規市場に新規製品/サービスをリリースする場合に分けられます。多くの方が新規事業と聞いて後者をイメージされかもしれませんが、大企業においてはあまり推奨しません。

なぜならば、新規市場への新規製品/サービス提供は会社にとって全く新しい領域であり、既存事業の強みを活かしづらく、知見がないために失敗しやすいからです。実際に、大企業の新規事業の成功例を見ると、既存の顧客に新規製品/サービスを提供するケースが多いことがわかります。

例えば、モノ売りからコト売り(例:AdobeのCreative Cloud)やデータを活用した効率化(例:コマツのLANDLOG)などがあげられます。売上高200億円以上の会社の新規事業開発経験者へのアンケートでも、「既存顧客への新サービス展開」の方が成功していることが分かっています(アビームコンサルティング株式会社2023年度調査)。

もちろん、既存顧客に新規製品/サービスを提供する場合も、適切なテーマ選定を行わないと問題に直面することになります。既存顧客と相対する事業部がいるため、新規×新規以上に、本業との関係性を明確にしないと検討を進めるのは難しくなります。そこで、今回は事業構想時に考慮すべき「本業への貢献」ストーリーについてご紹介します。

「本業への貢献」というストーリー

「本業への貢献」とは、新規事業が本業へ貢献する明確な論理のことです。例えば、「この事業は短期的な収益にはつながりませんが、本業の顧客の維持に貢献するため未来への投資として重要です」というストーリーを描きます。

そして、このストーリーに沿うように事業領域、サービス内容、事業計画などを検討します。そうすることで、新規事業が本業との関係性を踏まえて全社の中で位置付けられ、推進しやすくなります。

一般的には、本業の売り上げ拡大やコスト削減に寄与するロジックを考えると良いでしょう(下図表)。「本業への貢献」は多種多様のため、いくつかの具体例でご説明します。

既存顧客の離脱防止/既存事業への送客

あるBtoCサービス事業者は、「人々の移動」を成長領域として捉え、新規事業を検討していました。世界ではUberやTeslaなどの有望企業が誕生している中、規制の強い日本ではまだ確固たる地位を築く事業者がいない状況であり、事業機会は豊富にあるように思われました。

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