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与野党ダメダメで韓国政治が混迷していく理由 尹錫悦大統領も最大野党も抱えるさまざまなリスク

東洋経済オンライン / 2024年5月1日 8時0分

金夫人には、知人が経営するドイツ車の輸入販売会社の株価操作に関与した疑惑がずっとくすぶっており、野党は独立した特別検察による捜査の必要性を主張してきた。2023年12月には関連法案がいったん可決されたが、翌月に尹大統領は拒否権を行使した。

大統領が拒んだ法案を再可決するには、議会の出席議員の3分の2が賛成する必要がある。つまり200議席あれば理屈として覆せる。

今回の選挙結果を受け、野党勢力がまとまったとしても10数席足りない。しかし、先述のように与党内で尹大統領に対する反発が出ており、一定数の造反が出かねないとみられている。

金夫人を絶対に擁護してきた尹大統領のふるまいを考えると、もしそういった事態になれば、尹政権は求心力の低下というレベルではないほどの大混乱をきたす可能性がある。

ただ、「造反」といえば李代表はすでに手痛い仕打ちを経験済みだ。巨額の都市開発事業をめぐる背任罪など多くの罪で起訴されている李代表は2023年9月、北朝鮮に対する不正送金に関与した疑いなどで逮捕状を請求された。

国会会期中の議員にはいわゆる不逮捕特権がある。巨大野党を仕切る李代表への逮捕同意案は本来、否決されるはずだったが、「共に民主党」から造反者が続出し可決されてしまった。

その後、裁判所の判断で身柄の拘束は逃れたものの、李代表に対する党内の反発を象徴する出来事となった。

そのようなことも影響を与えたのか、総選挙の公認候補には、露骨なほどに「親李在明」系と言われる人々が選ばれた。検察官出身を含め、李代表が絡む刑事裁判で弁護にあたった弁護士5人も当選し、司法面での地固めを図ったとの見方が出ている。

執行部も李代表に近いメンバーで構成されるとみられ、党内の「李在明化」に拍車がかかりつつある。

他方で、多数の訴追という司法リスクがある李代表が今後、すべて無罪を勝ち取り、政治活動を続けることは難しいとの見方が支配的だ。党内外で偏向、不公平が叫ばれた公認選びの過程でも、水面下では妙な動きがあった。

最大野党代表も「面従腹背」の危機

李代表に批判的で、公認を得られなかったある現職議員は、離党したり、新党に合流したりせず、党内にとどまった。その理由をこう話す。

「党を私党化し、総選挙にも勝った李代表は、確かに今は栄華を誇っているが、いずれ必ず刑事裁判で失速する。その時までの辛抱で、公認が得られなかったのはむしろ幸いなこと。今は面従腹背の時だ」

政権や与野党が抱える数々の「リスク」のうち、どれが一番先にはじけるのか。時間との闘いが政局を大きく左右することになる。

箱田 哲也:朝日新聞記者

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