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「休日はのんびりお風呂」入浴で疲れがとれる理由 「休養学」博士が解説"知って得する温浴の効能"

東洋経済オンライン / 2024年5月4日 11時40分

350kgもの水圧が体中の皮膚を軽微に圧迫している状態になると、特に足のつま先のように血液やリンパが滞りがちなところがキュッと押されます。そうするとその押し上げられた老廃物が心臓や肺に戻っていきます。これはマッサージと同じ効果です。

お風呂の水圧が休養になる

伸縮性の強い生地で編まれた「着圧ソックス」や「着圧タイツ」がドラッグストアなどで市販されていますが、これなどはまさにお風呂に入ったときのような効果を狙ったものといえるでしょう。

本来であれば脚のふくらはぎの筋肉が、足にたまった血液を心臓に戻すのですが、筋肉は午後になると疲れて筋力が落ちてきます。そのため重力の影響で心臓からいちばん遠い足に血液が滞ってしまう。そうするとそこが血液で膨らんできます。いわゆる「むくみ」という状態です。

これを心臓まで戻すためには脚のふくらはぎが活躍します。足首を上下に動かすと、ふくらはぎが緊張して、弛緩して、緊張して、弛緩してという動きを繰り返します。このときふくらはぎの筋肉は、血管を絞って、広げて、絞って、広げています。

これを「ミルキングアクション」といいます。ミルキングとは牛の乳しぼりのことです。リズミカルに血管を刺激することで、足にたまっていた血液が心臓まで戻ってきます。ふくらはぎが「第2の心臓」といわれるゆえんです。

これと同じように、お風呂に入ると水圧がかかるので、一カ所にとどまっていた血液が心臓に押し返されます。そのため血行がよくなり疲れがとれるのです。

お風呂の温度は人それぞれ好みがあると思います。

私が心地いいと思うのは38度から40度です。しかしそれより少し熱めの42度くらいのお風呂に入ると、「ヒートショックプロテイン(HSP)」という細胞の損傷を防いでくれるタンパク質が出てくるといわれています。

ヒートショックプロテインに関してはいろいろな論文がありますが、40度のお湯に15分くらい入っても出てくるという報告もあります。あまり厳密に考えず、気持ちよいと思える温度のお湯につかるのがいいかもしれませんね。

ただし、42度くらいの熱めのお風呂に入ると、交感神経が優位になり寝つきが悪くなることもあります。朝風呂ならともかく、寝る前は40度くらいのお湯に15分入るか、さらにぬるいお風呂にゆっくりつかるほうが副交感神経優位になるのでおすすめです。

温泉で楽しく疲れをとる

天然の温泉に入るのもよいですね。お湯そのものの成分で疲れがとれることも科学的に証明されています。

天然温泉に行くと温泉の種類や効能が表示されていますが、「炭酸泉」とあるのはお湯に二酸化炭素が含まれているものです。人間の体は二酸化炭素を皮膚から吸収すると血管が拡張し、より血行がよくなるのです。

温泉の中にはラドンを含むものがありますが、これは放射能を含む放射性物質です。「放射能」と聞くとギョッとするかもしれませんが、微弱な放射能は体に刺激として与えると、抗酸化効果とか免疫向上など健康効果が期待できると報告されています。これをホルミシス効果といいます。

最近は街中にも日帰り温泉施設が増え、手軽に温泉が楽しめるようになってきました。こういった温泉施設にもなかなか行けないという人でも、家庭の浴槽に温泉成分入りの入浴剤を入れたりするのはどうでしょうか。好きな香りの入浴剤をそろえてみると、入浴時間がより楽しくなるはずです。

片野 秀樹:博士(医学)、日本リカバリー協会代表理事

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