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「聞くプロ」がさりげなく実践している3つのこと これがカギ国山ハセンが勧める「喜『驚』哀楽」

東洋経済オンライン / 2024年5月6日 20時0分

対話のスキルは才能ではありません。トレーニング次第で誰でも身につけられるものです(写真:kikuo/PIXTA)

相手の目を見て話を聞きながら、話を心地よく促進させるリアクションをすることで、相手は「もっと話せる、もっと話そう」という気持ちになります。

よい「受け身」が対話を促進する

よい「受け身」をすることで、焚火(たきび)に薪(まき)をくべるように対話の温度が上がり、対話の中身が本質へと深まっていきます。

逆に、「リアクションなし」の聞き方は相手を緊張させることに。

いくら話を真剣に聞いていても、微動だにせずじっと固まっていると、相手は「怒っているのかな」「私の話、つまらない?」とドキドキしてしまいますよね。相手に伝わるように、能動的に「リアクションをする」と意識づけることが大切です。

リアクションにはいくつか種類がありますので、できそうなものから意識的に取り入れて、体に染み込ませましょう。

対話のスキルは才能ではありません。トレーニング次第で誰でも身につけられるものです。対話の場面で繰り返し練習していれば、いつの間にか無意識にできるようになります。

○レベル1 相づち

言葉を発しなくても、相手の目を見て話を聞きながら首を縦に振るだけで「あなたの話を聞いていますよ」というメッセージに。安心して話を続けられます。ただし、相づちの打ちすぎは軽い印象を与えて逆効果なので、適度なペースを守りましょう。

○レベル2 短いつぶやき

「はい」「ふむふむ」「なるほど」など、受容・肯定のニュアンスの短い一言を返すことで、「あなたの話をちゃんと理解しながら聞いていますよ」というメッセージを伝えられます。ただし、あまり頻繁に発するとうるさく感じさせてしまうので、相づちと同様に頻度はほどほどに。私は「そうだったのかぁ」「えっ」など、気づきや驚きを表すつぶやきも多用しています。

○レベル3 短い質問

リアクションの延長で「短い質問」ができると、話の深掘りにつながります。例えば、「なぜですか?」「いつからですか?」「どんなふうにやるんですか?」「具体的には?」「何がきっかけだったんですか?」など。事前に用意した質問ではなく、相手が言ったことに対して即座に反応する質問です。間髪入れずに短い言葉で返すことで、対話のリズムを崩さずに相手の話を盛り上げる効果があります。

特にレベル3の「短い質問」は、話のポイントを逃さない集中力と瞬発力が問われるので、やや難易度が高い技術にはなりますが、意識的に磨くことで対話力のレベルは確実に上がります。

対話がスムーズに展開し、相手も自然と深い話ができるようになるので、「本音の交換」に近づきます。

お手本は「食レポ」の第一声

「短いつぶやき」を程よく差し挟むリアクションについて、もう少し詳しく説明します。

相手の話の内容に応じて、「へぇー!」「そうなんですか」「それは意外ですね」などと短く反応する言葉をこまめに返していく。あたりまえに感じるかもしれませんが、案外、会話中のリアクションワードをおざなりにしている人は多いのです。

自分では反応しているつもりでも、心の中にとどまってしまって、言葉や表情などで表に出ていなければ、相手には伝わりません。

すると、相手は「あれ? 反応薄いな……。あまり興味がないのかな」と受け取って、それ以上深い話をしなくなります。

自分が思っているほど感情は表に出ていないと心得て、ちょっと大袈裟にリアクションをするくらいでちょうどいいのです。

「リアクションといわれても、カッコいい言葉がとっさに出てこないよ」と戸惑う人もいるかもしれませんが、難しく考えなくて大丈夫です。

超がつくほどシンプルに、感じたことを口にすればよし。イメージするならば、情報番組で人気の「食レポの第一声」がよいお手本になります。

食レポ、つまり、食べ物を実際に口にして、味や香り、食感を紹介するレポートの第一声は、「うまっ」「美味しい〜」「新感覚です!」など、驚きや感動を表すシンプルで短い言葉がほとんどです。しかし、この短い一言があることで、その後の会話がどんどん促進されていきます。

普段の会話においてもこの食レポ感覚でのリアクションを取り入れると、お互いの興味関心を交換する熱の温度は上昇間違いなし。一つのお手本として参考にしてみてください。

「喜『驚』哀楽」で表情豊かに

「短いつぶやき」のリアクションを実践するときは表情豊かに。

イメージは「喜怒哀楽」ならぬ「喜『驚』哀楽」です。

「喜」は、話を聞いている途中や最後に、「今日お会いして、この話を聞けてよかったです」と喜びを伝えることです。

「楽」は、対話を楽しんでいる気持ち。「すごいなぁ」「いいですね!」「聞いていてワクワクします」など、ポジティブな感想はどんどん口にしましょう。

「哀」は、本気で悲しんでいるのではなく、場を盛り上げるための演出に近い表現です。「自分は全然できていませんでした」「もっと早く知りたかったなぁ」といった、相手の話の価値の高さを間接的に伝える、実はポジティブな意味合いです。

そして、「驚」。私が特に積極的に口にしているのが、「驚き」を表すリアクションです。

たった一語の「え!」だけでもいいのです。相手の話を聞きながら、初めて知る情報に触れたときに、ぜひ声に出してみてください。

「それは知らなかった!」という驚き、感嘆の気持ちをそのまま外に表すだけでも、相手にとってはポジティブな反応になります。

「おや、この情報についてハセンさんは知らなかったのか。ならばもう少し丁寧に話してあげよう」と解説モードへと転換し、さらなる「え!」や「へぇ〜」に発展していきます。

もちろん、既知の情報に対して知らなかったように振る舞う必要はありませんが、少しでも興味のアンテナが立ったら「驚き」のサインを送るのがおすすめです。

そこで初めて出会う事実や価値観、ものの見方を、生身の人から聞けるチャンス、つまり「学び」につながります。

ちなみに、「え!」にも、小さくつぶやくように発する「え」や、目を見開いて大きな声で言う「えぇ!!」、低いトーンの声と真顔の表情で放つ「えっ!」など、いろいろなバリエーションがありますので、私は状況に応じて使い分けています。

リアクションそのものを単調にしない、というのも大事なポイントです。シンプルで短い感情表現をこまめに口にするよう、ぜひ心がけてみてください。

国山 ハセン:映像プロデューサー、元TBSアナウンサー

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