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「電通でも残業60%減」を実現したシンプルな原則 付け焼き刃の対策より「経営者の覚悟」が大切

東洋経済オンライン / 2024年5月8日 11時20分

著者の小柳はじめ氏が電通本社の労働環境改革プロジェクトに参加した際には、2年間で残業時間が60%も減っていくさまを目のあたりにしたという(撮影:今井康一)

サブタイトルからもわかるとおり、『鬼時短――電通で「残業60%減、成果はアップ」を実現した8鉄則』(小柳はじめ著、東洋経済新報社)の著者は、電通に30年以上勤務してきた実績を持つ人物。その過程においては、多くの企業の「時短」に取り組んできたようだ。

最初は、4年間グループ会社に出向したとき。そこで利益率を向上させつつも、残業時間を大幅に短縮したのだそうだ。次いで電通本社帰任後に労働環境改革プロジェクトに参加した際には、2年間で残業時間が60%も減っていくさまを目のあたりにしたという。

つまりそうして得たノウハウに基づく本書は、経営陣や経営陣をサポートする方々が、真剣に「時短」を考えるきっかけとなるようにとの思いから書かれたものなのである。

4年前に独立した著者は現在、コンサルタントとして企業に「時短から始める企業改革」のアドバイスを行っているというが、特筆すべきはその手法だ。時短のコンサルというと難しそうにも思えてしまうけれども、それどころか非常にシンプルなのである。

① 時短は「社員のムダな動きをやめさせる」ことではない
② 時短は「会社が社員に強いているムダをなくす」ことである
③ 時短は「会社から社員への最高のもてなし(リスペクト)」である
(「はじめに 経営者のみなさん、いまこそ『時短』すべきです」より)

このように、まったく難しそうではない。にもかかわらず、これらを貫けば劇的な「時短」が達成できるというのである。だとすればその結果、会社のあり方自体もよりよい方向へと変わっていくことだろう。

ただし、これはよくあるたぐいの「ノウハウ本」ではない。著者は本書を通じ、「ノウハウを活かす」ために必要な経営者の「覚悟」を読者とともに考えていこうとしているのだ。

ところで著者は冒頭で、経営陣がどれだけ必死に時短を呼びかけたとしても、社員がとる態度は「面従腹背」でしかないと指摘している。つまり表面的には従うように見せかけながらも、心の底では反対しているということだ。

たしかに思いつきで「改革」を口にしたがる経営陣の姿を日常的に見せつけられていたのでは、そうなってしまったとしても無理はない。しかし、だとしたら具体的にどうすればいいのだろうか? この点について、著者は興味深い主張をしている。

「これまで会社がムリに押しつけてきたムダな業務を、リストアップしてわれわれに教えてください」(120〜121ページより)

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