トヨタは上方修正、ホンダは下方修正、明暗を分けた両社の要因とは?
財界オンライン / 2021年11月26日 7時0分
「部品や固定費で数円、数千円、数万円レベルの改善を地道に進め、少しでも挽回して上積みできるように頑張りたい」─。2022年3月期の業績予想を上方修正したトヨタ自動車取締役の近健太氏は語る。
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同社の21年9月中間決算は過去最高。初夏までの「貯金」と「円安効果」が大きい。貯金の最たる例が儲けの大きいSUV(スポーツ用多目的車)の販売好調。
「RAV4」を皮切りに粗利益が高いSUVの車種を増やし、消費者の需要を獲得。9月の北米での販売奨励金も1台当たり約16万円と低い水準を維持できた。また、想定を超える水準で円安が進行したことで、為替要因として4300億円の営業増益効果が出たのは「実力以上の部分があった」(同)と言える。
課題は半導体不足と東南アジアからの部品供給不足の対応だ。徐々に正常化に向かっているが、そうなると各社の生産が増え、資材コストなどが上昇する可能性もある。
近氏は「(そうならないように)供給を確保することが課題」と身構えつつも、系列の部品会社を中心とした強固な部品供給網を強みに、12月以降は挽回生産に乗り出す構え。
一方で「年明けから挽回生産するが、年度内に(全ての)挽回は難しい」と語るのがホンダ副社長の倉石誠司氏。同社は22年3月期の業績予想を下方修正し、4輪車の世界販売台数の見通しも65万台の減少となる420万台に下方修正を余儀なくされた。下方修正は2度目だ。
減産はトヨタと同じ理由だが、トヨタの世界生産台数見通しが通期で900万台と30万台減で抑えられているのと比べると、ホンダの影響は大きい。「外資系サプライヤーに部品調達を依存していることが背景にある」とアナリストは指摘。通常は海外販売の拡大やコストを抑える効果はあったが、今回のような「信頼関係をテコにした調達関係が必要とされる」(同)局面では裏目に出た格好。
「米中を中心に自動車の需要は目の前に広がっている」(トヨタ関係者)だけに、どれだけ部品を工面して1台でも多くのクルマを提供できるかが下半期の明暗を分けることになる。
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