テスラの苦境は続くのか?
財経新聞 / 2024年4月8日 16時28分
●テスラの株価が急落
米電気自動車大手テスラ社の株価が、年初から約30%以上も下落している。時価総額も今年に入り、ピーク時の半額以下に落ち込んでいる。株価も時価総額も上昇している同じ自動車メーカーのトヨタとは、対照的な結果となっている。コロナ禍で株価が急上昇。上場以来株価は10倍以上となり、時価総額も1兆ドルを超え、マグニフィセントセブンの一角であったが、今や存在感が薄れつつある。
テスラがなぜ急落したのか?今後もテスラの苦境は続くのだろうか?
●株価急落の原因
ロイター通信による4月5日の「テスラ低価格モデルの開発中止」との報道を受けて、株価は約6%急落した。その後、イーロン・マスクCEOは報道を否定し、下げ幅は縮小した。2024年第1四半期(2024年1-3月期)の納車台数が、コロナで生産を停止せざるを得なかった2020年以来の減少に転ずるなど、需要に陰りが見えている。
独特のデザインと防弾ボディで注目される新型EV「サイバートラック」は、2年以上納車開始が遅れている。さらにライバルのEV社である中国BYDの値下げ攻勢も、投資家からは嫌気されている。
●復活なるか?そもそもEV需要に陰りが
5日に発表された米雇用統計は強い数字が出ており、米国経済は好調を維持しているとの見方が大勢で株価も上昇した。ただ、インフレの長期化が懸念されており、好調だったエヌビディア株も一時の勢いがなくなっている。マグニフィセントセブンは利益確定で売りが意識されつつある。
テスラに限らず、EV業界にとってはここにきて需要の低迷が顕著となっている。
2023年は好調だったEVスタートアップ企業のリビアンは、2024年の生産台数見通しが予想を大きく下回ると見ている。
販売価格の引き下げや税額控除などの需要拡大の努力もむなしく、消費者のEVへの関心は決して高くない。バッテリー部品の需要減退も深刻で、操業停止なども一部で出てきている。
テスラの場合は、一時期PER1000倍を超えるなど、明らかにバブル感があった。
投資家の注目もEVからAIに移っており、バブルが終わったこれからのテスラは、真価が問われることになるだろう。
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