オムロンの完全子会社化した:JMDCが、匿名加工した医療データの活用で新たな歩みに踏み出した
財経新聞 / 2024年4月25日 11時37分
JMDC(東証プライム)を初めて知ったのは、昨年10月。31.49%保有の筆頭株主で、JMDCを持ち分法適用会社にしていたオムロンがTOBを宣言、持ち株比率を54.57%まで引き上げ完全子会社化した時だった。
JMDCは健康保険組合などの医療データを匿名加工し、製薬会社や生命保険会社へ提供する企業。裏方企業の様に思えるが、情報提供を受ける側にすれば商品開発などで不可欠な存在。裏付けるように順調な収益が続いている。
2022年3月期「30.1%増収、29.5%営業増益、10円配開始」->23年3月期「27.5%増収、23.9%営業増益、12円配」、24年3月期も前期末に発表した通期計画を第1四半期で早々に「18.7%増収(330億円)、48.5%営業増益(88億円)」に上方修正。第3四半期時点で予想比「70%、64%」まで積み上げている。
その一方で、オムロンとの提携・狙いが着々と進んでいることを知らされた。オムロンはTOBに当たり、その意図するところをこう明らかにしていた。「生活習慣病の予防など医療ビジネスを進める。制御機器事業でも提携を強める」。
今年4月12日にJMDCは『腎機能悪化スピードを予測するアルゴリズムを開発、実装システムの特許を取得』とする、リリースを配信した。要は、こう理解すればよい。
「糖尿病性腎症に象徴される慢性腎臓病は、重症化すると人工透析が必要となる。慢性腎臓病は10年以上の長期にわたり徐々に進行する病気だが進行速度は個人差が大きく、初期段階で判別することは困難。中度以上になって治療が開始されるケースが多い。透析移行自体を防ぐことができない点が課題。開発した悪化スピード予測アルゴリズムを活かすことで・・・」。
こうしたことも、JMDCが匿名で加工した情報がベースになっているからこその流れである。
JMDCは現会長の木村真也氏により、2002年に設立された。大手製薬会社のマーケティング部長、臨床試験受託企業のバイスプレジデントを経ての起業だった。木村氏はキャリアを積む中で得た経験からJMDCの創業を、こう語っている。
「データは最高の刺激材料。データそのものは決して答えを出してはくれないが、課題に直面している人にとってデータから導きだされることは閃きを呼び起こしたり、仮説を生んだり、更なる疑問を投げかける心地よい刺激。データは魅力的な社会を良くしていくドライバーだと信じている」。
本稿作成中の時価は3000円台入り口水準。昨年来安値の底を打った感。上場(2019年12月)来の調整済み株価パフォーマンスは53%上昇。IFIS目標平均株価は算出者の10人中7人が強気の5300円。安値ゾーンの時価は動向を見定めてから判断しても手遅れにはならないとみるが・・・
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