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アップルやアマゾンでも「失敗する」共通の特徴 プロジェクト自体は最終目的ではなく達成する手段

東洋経済オンライン / 2024年5月7日 18時0分

さまざまなプロジェクトが進行する中で「予算内、期限内、とてつもない便益」という3拍子を揃えられるのは0.5%に過ぎない(写真:itchaznong/PIXTA)

大小問わず、官民問わず、さまざまなプロジェクトが進行する中で、「予算内、期限内、とてつもない便益」という3拍子を揃えられるのは0.5%に過ぎない。

どうすればうまくいくのか。成否を握るのが計画立案(プロジェクトプランニング)だ。アップルやアマゾンでさえ失敗したケースとともに見てみよう。

世界中のメガプロジェクトの「成否データ」を1万件以上蓄積・研究するオックスフォード大学教授が、予算内、期限内で「頭の中のモヤ」を成果に結びつける戦略と戦術を解き明かした『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』より一部抜粋、再構成してお届けします。

フローチャートを「逆」から埋める

プロジェクトプランニングで使われる基本ツールに、フローチャートがある。フローチャートは、何を、いつ行うべきかを書き込んだボックスを、時系列順に左から右へと流れるように配置した図で、右端のボックスに書かれた目的が達成されたとき、プロジェクトは完了する。

この単純な図は、計画フェーズの初期段階にも役に立つ。この図を見れば、プロジェクトそれ自体が最終目的なのではなく、目的(右端のボックス)を達成する手段であることが一目瞭然だからだ。

プロジェクトの計画立案は、まず「なぜこのプロジェクトをするのか?」を考え、右端のボックスに何が入るべきかを慎重に検討することから始まる。それを行って初めて、その左に並ぶ数々のボックス、つまり目的を実現するための最善の手段について考えることができる。

私はこれを「右から左へ考える」手法と呼んでいるが、他の分野にもいろいろな呼び名で呼ばれる、基本的に同じコンセプトがある。

たとえば都市や環境計画には、「バックキャスティング」という用語がある。トロント大学教授のジョン・B・ロビンソンが、エネルギー対策を論じるためにつくった造語だ。バックキャスティングは、予測(フォアキャスティング)とは逆に、まず未来のあるべき姿を描き、そこから逆算して、それを実現するために必要なことを考えていく。

カリフォルニア州の水需要を考えるためのバックキャスティングでは、25年後のカリフォルニアの理想像を描くことから始め、この幸福な結果を実現するために、供給や水消費量、環境保護などの面でどんな対策が必要かを考えた。

シリコンバレーはこれらの世界とはかけ離れているが、テック界にも基本的に同じ手法がある。「顧客体験から始めなくてはいけない。そこから逆算して、テクノロジーまでたどらなくては」と、スティーブ・ジョブズはアップルの1997年世界開発者会議で語った。

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