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山下裕貴 目覚めよ日本 「日本との局地戦」想定した計画策定に備えよ 中国の台湾侵攻シミュレーション 常設の統合部隊を置くことが必要では

zakzak by夕刊フジ / 2024年4月27日 15時0分

北京市内の統合作戦指揮センターでは、習近平中央軍事委員会主席(党総書記、国家主席)以下、各委員および人民解放軍の主要幹部が集まり、作戦会議が行われていた。

「人民解放軍は、第1次上陸部隊2個集団軍および第2次上陸部隊1個集団軍基幹の地上部隊、これに加え海軍の戦闘艦40隻、空軍の戦闘機1000機をもって台湾解放作戦を開始します…」

作戦部長が全般作戦計画の説明を始め、その後、情報・後方支援などの各幕僚から機能別計画が説明された。

最後に習氏が「諸君。人民解放軍の統合戦力を集中せよ。『中華民族の偉大なる復興』をいよいよ実現するときがきた!」と訓示し、会議は終了した。

習氏は「台湾統一」を行って自身の政権基盤を確固たるものにし、歴史に名を残すのは今だと武力侵攻を決断したのである。

右は拙著『完全シミュレーション 台湾侵攻戦争』(講談社)からの引用である。作戦は『孫子の兵法』に「兵は拙速を聞くも、いまだ功の久しきをみざる」とあるように、短期決戦を目指さなければならない。

ウクライナ戦争を見ても分かるように、長期戦になれば大量の弾薬や燃料を消費し、多くの兵士や装備を失い、経済的損失は莫大(ばくだい)となる。さらに、米国などの西側諸国の支援や軍事介入を誘発する。つまり、米国の本格的な軍事介入前に実効支配のかたちに持ち込めば目的達成となる。

また、地理的に近い東シナ海戦域において、日本との局地戦を想定した計画を策定するだろう。

中国の各戦区は統合部隊として編成されており、陸海空の戦力を集中できる態勢が平時から整備されている。人民解放軍は短期決戦、台湾軍を圧倒するために作戦を担当する東部戦区に、他戦区から陸海空部隊を集中すると予想される。

自衛隊は運用態勢の強化を図るため、2024年度末に常設の「統合作戦司令部」を新編する予定である。これまで統合幕僚監部が担ってきた統合運用の作戦面を切り離して、統合幕僚長は首相および防衛相を補佐し、新設する「統合作戦司令官」が統合作戦全般の指揮を行う新体制である。

しかし、統合作戦司令官の命を受けて、第一線において防衛作戦を担当する常設統合部隊(=米軍のインド太平洋軍のような)は存在しない。有事の際は、統合任務部隊が臨時に編成されて作戦を担当することとしている。

平時から有事への円滑な作戦移行や、統合部隊指揮官の指揮の容易性から臨時の部隊ではなく、常設の統合部隊(仮称、南西防衛隊)を置くことが必要ではないだろうか。

■山下裕貴(やました・ひろたか) 1956年、宮崎県生まれ。79年、陸上自衛隊入隊。自衛隊沖縄地方協力本部長、東部方面総監部幕僚長、第三師団長、陸上幕僚副長、中部方面総監などの要職を歴任。特殊作戦群の創設にも関わる。2015年、陸将で退官。現在、千葉科学大学客員教授。新聞やテレビ、インターネット番組などで安全保障について解説している。著書に『完全シミュレーション 台湾侵攻戦争』(写真、講談社+α新書)、『オペレーション雷撃』(文藝春秋)。

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