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その瞬間に時間が止まりました…漫画家のやよいかめさん副鼻腔がんとの闘いを振り返る

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月6日 9時26分

【独白 愉快な“病人”たち】

 やよいかめさん(漫画家)
  =副鼻腔がん

  ◇  ◇  ◇

 2017年、風邪で鼻水が止まらなくなって「蓄膿症かな」と思っていたら、なんと「副鼻腔がん」でした。

 夫が転勤の多い仕事で、その年も岩手から福島に転勤が決まり、引っ越し準備にあわただしい頃でした。鼻水や鼻づまりが治らないことで市販の鼻炎薬を飲んでいたのですが、なかなか良くなりません。耳鼻科はいつも混んでいるイメージがあり、時間的に余裕がないのを言い訳に引っ越し準備を優先させてしまいました。

 結局、耳鼻科に行ったのは、引っ越しが一段落し、症状が一段と悪くなって眠れない夜が続くようになった頃です。近所の耳鼻科では鼻炎の薬を処方されました。でも改善せず、再度診てもらうと「鼻茸がある」と言われました。鼻茸は粘膜が炎症して瘤のようになったもので、特に珍しいものではありません。「切除しましょう」と、大きめの病院を紹介されました。

 まず組織をとって検査することになり、先生に「目をつぶってください」と言われました。麻酔をしてしばらくすると鼻から何かの器具を入れられ、「ちょっと切るんだろうな」と思っていたら、次の瞬間、カン! という脳に響くような衝撃があり、びっくりしました。もちろんすごく痛かった。

 1週間後、結果を聞きに行くと、診察室に入ってすぐ「悪性の腫瘍が見つかりました」と告げられました。「がん、ですか?」と聞くと、「そうです」と返ってきて、その瞬間に時間が止まりました。

 叔母と父親をがんで亡くしているので、自分もがんで死ぬのか……とショックを受けました。と同時に、2人の子供のことを思いました。まだ小学校の低学年と中学年です。「ここで私が死ぬわけにはいかない」と、強い気持ちが湧いてきました。

 夫の親戚に医療関係者が多いので、福島の評判の良い病院を聞きまくって、耳鼻科のレジェンドと言われる医師のいる病院に入院しました。入院にあたって、子供たちには本当のことをきちんと話しました。隠すことで家族を信用できなくなるのが一番よくないと思ったからです。すると、「さびしくても僕たち頑張るから、お母さんは早く病院へ行って治して」と言ってくれました。

■切開手術で顔が変わるのが怖かった

 治療は、放射線と抗がん剤でがんを小さくしてから外科的手術をする段取りになりました。放射線は全30回。10回目が済んだところで、動注化学療法といって足の太い血管からカテーテルを患部まで通してピンポイントでがんを叩く抗がん剤治療をしました。周囲へのダメージが少ないことが利点です。

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