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社説:困難女性支援法 連携で継続した支援を

京都新聞 / 2024年5月9日 16時5分

 生きづらさを抱える女性を孤立させないよう、国と自治体、民間団体が連携して支援につなげなくてはならない。

 ドメスティックバイオレンス(DV)や性被害、貧困などに直面する女性を対象とした「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(困難女性支援法)」が先月に施行された。

 女性を取り巻く問題は近年、複雑で、多様になっている。都市部の繁華街には夜、居場所を求めて若年層が集まり、犯罪に巻き込まれる被害が後を絶たない。

 新型コロナウイルス禍は仕事や暮らしを脅かし、女性の自殺やDV相談が増えた。非正規雇用が約半数を占めるシングルマザー家庭の貧困率は50%近くに上る。自らSOSを出せない人も多く、いかに医療や福祉、公的支援へとつなぐかが喫緊の課題だ。

 支援法は2022年5月に議員立法で成立。当事者を指導や管理の対象とする「売春防止法」の視点を廃し、自立に向けた支援を国や自治体の責務と位置づけた。

 具体的な支援策は、自治体が作る基本計画を踏まえることになる。京都府と滋賀県はともに今年3月に策定し、早期発見や相談、一時保護、自立支援やアフターケアなどの対応を打ち出した。

 各府県で実務を担うのは、名称を変更した「女性相談支援センター」や「自立支援施設」が核となる。相談体制の強化に向け、府は28年度に女性相談支援員(旧・婦人相談員)を全市町村に配置する数値目標を掲げた。県も全13市に配置し、6町へは県の支援なども検討する。

 相談者と信頼関係を築き、適切な支援へと結び付くよう、人材の確保や研修などによる資質の向上が求められよう。不安定な非正規雇用が多い現状を見直し、待遇改善を図りたい。

 経験や知識のあるNPOなどの民間団体は数が限られ、都市部に偏っているのが課題だ。財政面も含めた支援が欠かせない。

 厚生労働省は24年度予算で、官民参加の地域協議会開催や団体育成のための補助金を盛り込んだ。居住地で支援の格差が開かないよう府県の差配が重要になる。国も情報やノウハウの共有に向けて支える必要がある。

 自立支援施設では、利用者個々のニーズに合った生活環境の改善や、退所後の継続的な見守りも進めたい。それには関係機関が連携し、地域の安全網を紡ぐ姿勢が必要だろう。

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