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ご飯、納豆、味噌汁だけでは早死にする…医師・和田秀樹「やせた人より小太りの人が6年も長く生きる理由」【2023編集部セレクション】

プレジデントオンライン / 2024年5月9日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazoka30

2023年下半期(7月~12月)にプレジデントオンラインで配信した人気記事から、いま読み直したい「編集部セレクション」をお届けします――。(初公開日:2023年7月28日)
中高年が長生きするには、どのような食生活を送るべきか。医師の和田秀樹さんは「60代以降のダイエットは健康に直結しない。世界のさまざまな統計データをみると、BMIの数値が25を超えた小太りの人のほうが長生きする傾向がある。メタボが怖いから肉は控えようと過剰に反応するのは、『頭がいい人』の行動様式ではない」という――。

※本稿は、和田秀樹『頭がいい人、悪い人の健康法』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■統計データが証明「小太りの人のほうが長生きする傾向」

中年以降の多くの日本人が、健康を保つためにメタボになってはいけないと刷り込まれています。そのため、太っているのは健康に悪いというメッセージが広まりすぎて、60代以降になってもダイエットを心がけている人が当たり前のようにいます。

たしかに、内臓脂肪を過剰に蓄えるのは、健康にはマイナスかもしれません。しかし、それ以上に、メタボへの反動によって、多くの中高年がやせなければと過度に考えている現状のほうが、私はずっと危ういと思っています。

というのも、60代以降のダイエットは健康には直結しないからです。やせたからといって、健康で長寿になるわけではありません。むしろ、心身の若々しさを失い、健康を遠ざける結果になります。実際、小太りの人が長生きするという、はっきりしたデータがあります。

メタボに関連して、中高年の健康管理の指標の一つとして定着しているのがBMIです。ご存じのとおり、BMIとは、「体重(kg)÷身長(m)の2乗」で導き出される数値で、この数値がWHO(世界保健機関)による「普通」の基準とされる18.5~25の間に収まっていれば、健康だと考えられています。

ですが、世界中のさまざまな統計データを見ると、BMIの数値が25を超えた人のほうが、長生きする傾向が明らかに表れています。

■頭がいい人はメタボ予防に過剰に反応しない

2009年に日本で発表された研究結果では、40歳時点の平均余命が最も長かったのは、男女ともにBMIが25~30の人でした。

一方、平均余命が最も短かったのは18.5未満の人です。両者の間の平均余命を比較すると、男女ともにBMIが高い人のほうが、6~7年ほど長生きすることが判明しています。

2006年にアメリカで行われた「国民健康栄養調査」でも、BMIが25~29.9の人が最も長生きであり、18.5未満の死亡率はその2.5倍も高かったのです。つまり、ちょっとぽっちゃりした小太りの人がいちばん長生きしていることがはっきり表れています。

東北大学が11年間追跡調査した結果(2009年)
出典=『頭がいい人、悪い人の健康法』より

もちろん、BMIが30を超えるような太りすぎになると、心筋梗塞などのリスクが高まりますから、程度の問題です。それでも、やせている人より平均余命は長いので、いかにやせることが危険であるかがわかるでしょう。

アメリカでは、太りすぎて歩けなくなったり、手術で食事による栄養摂取を制限したりするといったケースがよく見られますが、日本ではそんな人はまずいません。せっかくいい状態にあるのですから、やせる必要などまったくないでしょう。

小太りの中高年が、メタボ予防のためにやせなければいけないとか、メタボが怖いから肉は控えようと過剰に反応するのは、「頭がいい人」の行動様式ではありません。

いまだにダイエット本が次々と登場して、新奇なやせ方を紹介しています。そして、テレビが、それを情報番組などで放送するわけです。データに基づいて判断できる「頭がいい人」は、惑わされることなどないでしょうが、そうでない人をミスリードする。

こうした出版や報道のあり方に、私は大きな疑問を感じています。

■肉食を控えることは死を招く

厚生労働省の調査によると、いま70歳以上の日本人は、じつに5人に1人がタンパク質不足だといわれています。高齢者は肉を控え、野菜中心の食事が体にいいと思い込まされた結果、タンパク質が不足しているという事情もあるのでしょう。

欧米化してきたといわれる日本人の食生活ですが、それでも1日当たり100グラムほどしか肉を食べていません。

これに対して、アメリカ人は300グラムほど食べています。このくらい食べているなら、その量を減らして肥満や動脈硬化を抑え、虚血性心疾患を減らそうとするのもわかります。

リブロース肉
写真=iStock.com/naturalbox
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/naturalbox

しかし、1日当たり100グラムにも満たない日本人の場合、まして食の細くなっている高齢者ならなおさら、もともと少ない肉をさらに控えてしまうことになります。

昭和50年代半ばまで、日本人の死因トップは脳卒中(脳血管疾患)でした。その頃までの日本人は、タンパク質が不足していたからです。厚生労働省の統計を見ると、当時の日本人は、肉類を1日当たり約68グラムしか食べていません。

本来、若く健康な人の血管は、ゴムのように弾性があるものです。ですが、材料となるタンパク質が不足していると血管はもろくなってしまい、血管が破れやすくなるのです。

かつては一般的だった、ご飯、メザシ、納豆、漬物、味噌汁といった食生活では、塩分が多くてタンパク質が少ないので、血圧は高くなり、血管はもろくなります。これでは血管が破れるのも無理はありません。

■コレステロールは行動意欲の源泉

実際、当時は150mmHgくらいの血圧で脳出血を起こした人が多かったようです(いまは、このくらいの血圧で脳出血を起こすことはほとんどありません)。

秋田県では、昭和60年代まで脳卒中が死因のトップでしたが、塩辛い漬物とご飯が中心で、タンパク質の少ない伝統的な食生活が大きな要因でした。

その後、減塩運動が進められたことで、秋田県では脳卒中が減少しました。ただ、その理由について、減塩ばかり強調されますが、タンパク質の摂取量が飛躍的に増えている点も見逃してはいけません。

和田秀樹『頭がいい人、悪い人の健康法』(PHP研究所)
和田秀樹『頭がいい人、悪い人の健康法』(PHP研究所)

しかも、タンパク質が不足していた頃の秋田県は、全国的に見て自殺が目立って多かったのですが、これも減少しています。肉を多く摂取するようになって、セロトニンや男性ホルモンが増え、うつに陥りにくくなっている面があると考えられるのです。

肉に多く含まれるトリプトファンはセロトニンの材料ですし、コレステロールは脳にセロトニンを運ぶことにかかわっています。

さらにいえば、コレステロールは、男性ホルモンであるテストステロンの材料です。

男性ホルモンは活力の源泉であり、男女どちらの体でもつくられていて、行動意欲に大きくかかわっています。

肉に含まれているコレステロールを目の敵にしている人もいますが、人間にとって必要な栄養素であることは忘れてはいけません。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」

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(精神科医 和田 秀樹)

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