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今から家買う人は知らないとマズい「耐震」の真実 過去の大地震の被害データを分析してわかること

東洋経済オンライン / 2024年4月23日 13時0分

大きな被害が発生した能登半島地震(写真:高橋よしてる/アフロ)

日本では大地震があるごとに自宅の中で亡くなる人が多い。

2024年の元日に起きた能登半島地震の死者は、1月31日時点で238人、そのうち窒息・圧死が141人で63.0%を占めている。阪神淡路大震災の被害は、住家全壊約10万5000棟、半壊約14万4000棟で、死者6434人、不明3人、負傷者4万3792人以上。兵庫県医師会によると、阪神淡路大震災による死因は、窒息・圧死が約77%だと言う。自宅などに押しつぶされているケースが圧倒的に多いのだ。

全国平均を下回っていた珠洲市、輪島市の住宅耐震化率

珠洲市の住宅耐震化率は51%(2018年度)、輪島市は45%(2022年度)と全国平均の87%を下回っていた。この住宅耐震化率とは、1981年に導入された建築基準法の耐震基準に基づき、すべての住宅のうち耐震基準を満たしている住宅の割合を指す。1981年以降を新耐震、それ以前を旧耐震と言う。原則、旧耐震の建物には住宅ローンはつかない。ゆえに売却しようとしても買い手がいないので売れない。自分で住み続けるしかない。

しかし、こうした状況を容認していたわけではない。珠洲市では、最大200万円の補助金制度を設けていたが、利用は進んでいなかった。

日本の家は5361万戸(住宅・土地統計調査、2018年)存在し、持ち家は3280万戸で約6割を占める。そのうち、旧耐震と呼ばれる耐震基準が低かった1981年以前の建物は約891万戸あり、その中でも2014年以降5年間における住宅の耐震改修工事をしたものは約22万戸で2.5%に過ぎない。

2018年時点の全国の住宅耐震化率は87%で、残りの13%に相当する700万戸の耐震不足住宅が存在しているが、2030年にはおおむね解消することを国土交通省は掲げている。

この700万戸の耐震不足住宅に平均世帯人員2.3人をかけると、最大の被害人数が算出される。1600万人超えである。もちろん、一度に日本中が大地震に見舞われることはないが、それだけの災害予備軍がいることは事実である。

耐震化率とは何か

耐震化率を理解するには、旧耐震・新耐震・耐震等級の3つが必要になる。これらの定義は簡単だ。旧耐震とは、震度5程度の地震で倒壊しないレベルを指す。ちなみに、震度5弱は2008年以降で240回、震度5強は101回起きている。

新耐震でいう耐震基準は、震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れるレベルを指す。こうなると、大地震でも一瞬にして倒壊し、圧死することが避けられる。ちなみに、震度6強の地震は2011年以降、すでに15回を数える。熊本地震は4日間に4回起きている。

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