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アングル:中国銀行業界、不動産不況と地方政府債務が業績圧迫

ロイター / 2024年3月29日 17時5分

中国の5大国有銀行が27、28の両日に2023年度決算を相次いで発表し、いずれも収益性の重要指標である純金利マージン(NIM)が縮小したと明らかにした。写真は北京の中国工商銀行支店前で2019年4月撮影(2024年 ロイター/Florence Lo)

Ziyi Tang Engen Tham

[北京/上海 28日 ロイター] - 中国の5大国有銀行が27、28の両日に2023年度決算を相次いで発表し、いずれも収益性の重要指標である純金利マージン(NIM)が縮小したと明らかにした。5行は不動産セクターのリスクが解消されていないと警鐘を鳴らしたが、足元では景気減速に伴う各種セクターてこ入れのため貸出金利の引き下げを迫られている。

今後の見通しについて格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスの銀行アナリスト、ニコラス・ジュー氏は「高い信用コストとNIM縮小で収益性が損なわれる状態が続くだろう。低金利環境が資産の運用利回りと投資収益を圧迫し続けるためだ」と予想した。

5行は、世界最大の銀行である中国工商銀行(ICBC)と中国交通銀行(BoCom)、中国建設銀行(CCB)と中国銀行(BoC)、中国農業銀行(AgBank)。決算発表日はICBCとBoComが27日、他の3行が28日だった。

景気減速のため利益成長がわずかだったICBCの王景武・副行長は、決算発表翌日となる28日の記者会見で、同行が不動産市場の安定化を支援すると述べた。ただ、具体的な内容は明らかにしなかった。

AgBankとBoCは純利益がそれぞれ前期比3.9%増、2.4%増とやや好調だった。CCBも2.4%増だった。一方、ICBCとBoComは景気減速の影響で利益がほとんど伸びなかった。

中国の不動産市場を取り巻く環境は依然厳しい。不動産企業の債務抑制政策が始まって以降、市況変動が大きくなった。これが不動産企業の相次ぐデフォルト(債務不履行)や経営破綻を引き起こし、不動産セクター向け金融業者に打撃を与えた。投資家の間では、国有の不動産企業が民間の不動産企業よりも多くの金融支援を受けるのかどうか懸念が広がっている。

ロイターは今週初め、中国の規制当局が不動産業界支援策の一環として一部の不動産プロジェクトについて、民間不動産開発業者向け融資の承認手続きを迅速化するよう銀行に働きかけていると報じた。

ICBC副行長は「経営権の所有形態に関係なく不動産会社を平等に扱う」と述べている。ただ、BoComは不動産会社向け貸し付けの不良債権化が進んでおり、殷久勇・副行長が「リスク管理を強化する必要がある」と述べた。

AgBankは不良債権が主に不動産セクターと地方政府向け貸し出しに起因していると明らかにした。

格付け会社フィッチ・レーティングスのアジア太平洋金融機関ディレクター、エレイン・シュー氏は、中国の銀行は今年も引き続き業績が圧迫されかねないと指摘。その要因として不動産セクターの弱さに加え、地方政府の投資会社である「融資平台」(LGFV)へのエクスポージャー、消費者の需要低迷を挙げた。

さらに「経済的に弱い地域にある小規模な地方銀行は不動産市況の深刻化のために、今年は与信プロファイルに対する悪影響が最大になる恐れがある」と述べた。

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